ややこしくて全然わからない…規制内容と読み方を知りたい!
こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。
内容を簡潔にまとめると、
✔️複雑な法文だけど、たった2つのコツ抑えれば簡単に読める
✔️面積、高さによって、検討すべき計算方法が異なる
でも、今回ご紹介する読み方の2つコツを抑えれば、簡単に読みこなす事が出来ますよ!
では、早速確認していきましょう!
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
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建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 高さが60mを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
二 高さが60m以下の建築物のうち、第6条第1項第二号に掲げる建築物(高さが13m又は軒の高さが9mを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物、高さが20mを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
ロ 前号に定める基準に適合すること。
三 高さが60m以下の建築物のうち、第6条第1項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
ロ 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。
四 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
ロ 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。
法第20条の法文を読み解く為の2つのコツ
法第20条を読み解く為には、2つのコツが必要です。どうしてそんなコツが必要なのかというと、複雑だからです
みなさんが知りたい『どの規模の建築物がどの計算方法で検討する必要があるのか?』を知る為には、法第20条だけでは情報が不足しています。
法文でマーカーを引いたように、重要な内容を政令に振っているからです。
具体的には、法第20条、令第36条、令第81条 この3つを読み合わせなければなりません。
だから、読みにくく複雑なので、読むのには工夫が必要なんです。
では、早速コツを確認してみましょう。
コツその①構造基準は『構造計算』+『おまけの基準(仕様規定)』だと整理する
構造と言ったら、みなさん真っ先に『構造計算』と思い浮かべると思います。しかし、これは半分正解、半分は不正解です。
構造基準は『構造計算』+『おまけの基準(仕様規定)』という構成になっています。
仕様基準もしっかり法文にある守るべき基準なのですが、説明の為に今のところは『おまけ』程度に頭に置いておいてください。
そして、この2つの基準なのですが、適合すべきと説明されている内容が政令でくっきり分かれています。
令第36条 | 仕様規定(おまけの基準) |
令第81条 | 構造計算 |
よって、法第20条を確認したら、『構造計算』と『おまけの基準』はどれに適合させるかな?という観点に分けて考えると読みやすいです。
コツその②法文の順番を入れ替えて読む
通常だったら、法文は前から読みますよね?
よって、『法第20条→令第36条(おまけの基準)→令第81条(構造計算)』
しかし、これでは流れとして不自然です。
『法第20条→令第81条(構造計算)→令第36条(おまけの基準)』という順番で読みましょう。
どうしてかというと、何度も言いますが、令第36条はただのおまけの基準だからです。
メインはあくまで構造計算(令第81条)で、それにおまけの基準(令第36条)がくっ付いているだけだから。
このあたりの説明をする為に、あえて仕様規定(令第36条)はおまけの基準として説明していました。
この順番で読んだ方が簡単な理由は、法文でもよくわかります。
例えば、先に令第36条を先に読んだ場合どうなるでしょうか?
法第20条第一号の政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準を除く。)は、耐久性等関係規定(この条から第37条まで、第38条第1項、第5項及び第6項、第39条第1項、第41条、第49条、第70条、第72条(第79条の4及び第80条において準用する場合を含む。)、第74条から第76条まで(これらの規定を第79条の4及び第80条において準用する場合を含む。)、第79条(第79条の4において準用する場合を含む。)、第79条の3並びに第80条の2(国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)の規定をいう。以下同じ。)に適合する構造方法を用いることとする。
2 法第20条第二号イの政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準を除く。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造方法を用いることとする。
一 第81条第2項第一号イに掲げる構造計算によつて安全性を確かめる場合 この節から第4節の2まで、第5節(第67条第1項(同項各号に掲げる措置に係る部分を除く。)及び第68条第4項(これらの規定を第79条の4において準用する場合を含む。)を除く。)、第6節(第73条、第77条第二号から第六号まで、第77条の2第2項、第78条(プレキャスト鉄筋コンクリートで造られたはりで2以上の部材を組み合わせるものの接合部に適用される場合に限る。)及び第78条の2第1項第三号(これらの規定を第79条の4において準用する場合を含む。)を除く。)、第6節の2、第80条及び第7節の2(第80条の2(国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)を除く。)の規定に適合する構造方法
二 第81条第2項第一号ロに掲げる構造計算によつて安全性を確かめる場合 耐久性等関係規定に適合する構造方法
三 第81条第2項第二号イに掲げる構造計算によつて安全性を確かめる場合 この節から第7節の2までの規定に適合する構造方法
3 法第20条第三号イ及び第四号イの政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準を除く。)は、この節から第7節の2までの規定に適合する構造方法を用いることとする。
次は逆に、令第81条から読んでみましょう。
法第20条第一号の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握すること。
二 前号の規定により把握した力及び変形が当該建築物の各部分の耐力及び変形限度を超えないことを確かめること。
三 屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁が、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して構造耐力上安全であることを確かめること。
四 前3号に掲げるもののほか、建築物が構造耐力上安全であることを確かめるために必要なものとして国土交通大臣が定める基準に適合すること。
2 法第20条第二号イの政令で定める基準は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造計算によるものであることとする。
一 高さが31mを超える建築物 次のイ又はロのいずれかに該当する構造計算
イ 保有水平耐力計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算
ロ 限界耐力計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算
二 高さが31m以下の建築物 次のイ又はロのいずれかに該当する構造計算
イ 許容応力度等計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算
ロ 前号に定める構造計算
3 法第20条第三号イの政令で定める基準は、次条各号及び第82条の4に定めるところによる構造計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によるものであることとする。
(以下、省略)
最後に内容をまとめる
それでもよくわからない方に向けて、法文のどこにどんな内容が書いてあるか、概略を作成したので、確認してみてください。
ほんとにこんなので読みやすくなるの?と思う方もいるかと思いますが、私はこのコツを抑えてから、するする法文の内容が頭に入るようになりました。
騙されたと思って、是非実践してみてください。最後までありがとうございました。