避難階段とは?|緩和は?建築基準法を根拠にわかりやすく解説

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

避難階段とは、避難に優れた直通階段のこと。屋内避難階段・屋外避難階段・特別避難階段の3種類がある。5〜14階建ては3種類のいずれか、15階建て以上は特別避難階段が必須(令121条・令123条)。

この記事でわかること

  • 避難階段の3種類と設置義務が発生する建築物
  • 避難階段の設置免除が使える条件
  • 屋内・屋外・特別避難階段それぞれの条件
  • 物品販売店舗での階段幅の強化規定
そぞろ

避難階段は、高層建築物などで必ず出てくる重要な規制です。
今回は、わかりやすく解説していきます!

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『避難階段』とは?

避難階段とは、避難に優れた直通階段

建築基準法の避難規定では、直通階段の設置義務があります。その中でも、避難階段とは、その名の通り、避難に優れた直通階段のことです。直通階段については、以下の記事で詳細に解説しています。

単純に避難階段と言っても、実は『屋内避難階段』と『屋外避難階段』と『特別避難階段』の3つがあります!

この3つの具体的な構造については、後ほど詳しく解説していきます。

避難階段の『設置義務』とは?

避難階段は、以下の建築物の部分に必要になる

必要になる建築物必要になる避難階段
5階〜14階建ての建築物 地下2階の建築物 3階・4階を物品販売店舗※とした建築物以下3つのいずれかの避難階段
屋内避難階段
屋外避難階段
特別避難階段
15階建て以上の建築物 地下3階以下の建築物 5階以上の階を物品販売店舗※とした建築物特別避難階段

※…床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る(令121条1項二号により)

ポイントとしては、15階建て以上の建築物となると、屋内避難階段や屋外避難階段ではなく、特別避難階段にしなくてはならないということです!

後ほど解説しますが、3つの避難階段の中でも、特別避難階段が最も条件が厳しいです。それだけ、安全性が重視された階段ということになります。

そして、15階以上の高層階の建築物や、地下3階以下の階の建築物は、安全性が重視された、特別避難階段を計画しなくてはなりません。

Q.任意で避難階段を設けるケースとは?

これ以外のケースでも、避難階段を計画することはある?

2つのケースで考えられます。

  • 2以上の直通階段の緩和を受けるとき(ただし、屋内避難階段では緩和を受けられないので注意)
  • その他関係法令の緩和を受けるとき

まず、建築基準法上では、2以上の直通階段の緩和を受けるために、避難階段の設置が必要になります。2以上の直通階段については、以下の記事で詳しく解説しています。

続いて、保育所の設置基準で避難階段が義務付けられていたり、消防設備を緩和を受けるために、避難階段の計画が求められてることもあります。

避難階段の『設置免除』とは?

避難階段の設置免除できる建築物

以下2つどちらの条件も満たす建築物

  • 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料で造られている建築物
  • 5階以上又は地下2階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合

以下2つどちらの条件も満たす建築物

  • 主要構造部が耐火構造である建築物
  • 床面積100㎡以内ごと(共同住宅の住戸の場合は、200㎡)に耐火構造の床・壁・特定防火設備※で区画されている場合

※…直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる防火設備を含む。

5階以上・地下2階以下の規模が小さい場合や、建築物が100㎡で区画されている場合は、避難階段が不要となります!

これらの条件を満たした場合は、避難階段ではなく、通常の直通階段でもOKとなります。

緩和の条件に関しては、原則として特定防火設備で区画が必要ですが、共同住宅の住戸の扉などで所定の条件を満たした場合は『防火設備』にできる等の措置が『建築物の防火避難規定の解説』に書かれています。防火設備等で区画としたい場合などは、こちらも併せて確認ください。

Q,2以上の直通階段で避難階段の設置をする場合は?

2以上の直通階段の緩和を使うために、避難階段を設置する予定
設置免除の条件に当てはまっている場合は、避難階段なしでも2以上の直通階段の緩和を受けることは出来る?

2以上の直通階段の緩和を受ける場合は、『必ず』避難階段の計画が必要です。

2以上の直通階段の緩和を受ける場合には、所定の条件に加え、屋外避難階段か特別避難階段の設置が必要になります。この設置を、緩和を使って避難階段を無くすことができるのではないかと考える方もいるのですが、これは出来ません。

2以上の直通階段の緩和を受けるなら、避難階段は必須です。いい所取りは出来ませんので、覚えておきましょう。2以上の直通階段については、以下の記事を参考にしてください。

『屋内避難階段』が満たすべき条件とは?

屋内避難階段の条件

以下7つ全ての条件を満たす屋内階段(令123条1項)

部位条件
壁の構造④、⑤、⑥の開口部等を除き、耐火構造の壁で囲む
内装制限天井や壁は、仕上げを不燃材料、下地を不燃材料で造る
照明設備『採光上有効な窓』又は『予備電源を有する照明設備』を設ける
スパンドレル階段室の屋外に面する壁に設ける開口部※は、階段室から90㎝以上の距離に設ける(ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合を除く) ※開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。
階段室に設ける窓面積1㎡以内のはめ殺し防火設備とする
階段に通ずる出入口防火設備で所定の構造※であるものを設ける ※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの
階段の構造耐火構造とし、避難階まで直通する

屋内避難階段は、いろいろ条件があるようですが、実はそこまで難しいものはないので、比較的計画しやすいです!

屋内避難階段に関しては、一つ一つ読み解いていけば、そこまで迷う内容もないかと思います。ただし、屋内避難階段の計画では、2以上の直通階段の緩和はできませんので、注意が必要です。

『屋外避難階段』が満たすべき条件とは?

屋外避難階段の条件

以下3つ全ての条件を満たす屋外階段(令123条2項)

部位条件
階段と開口部の離隔階段から2mの距離には、①以外の開口部を設けないこと(ただし、開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸は除く)
階段に通ずる出入口防火設備で所定の構造※であるものを設ける ※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの
階段の構造耐火構造とし、避難階まで直通する

屋外避難階段は、避難階段の中よく採用されますが…
①にある通り、原則として階段から2mの距離には開口部を設けられないのが特徴です。これが結構盲点で、厄介だったりします。

屋内避難階段に比べ、屋外避難階段は条件が少ないのですが、①の建築物から2m以内の開口部制限がネックになります。

詳しい内容は下記で解説しています。

『特別避難階段』が満たすべき条件とは?

特別避難階段の条件

以下12個全ての条件を満たす屋内階段(令123条3項)

部位条件
付室の設置屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡する
付室の構造付室の構造は、国土交通省が定めた構造又は国土交通省の認定を受けたものとすること
壁の構造⑥、⑧の開口部等を除き、耐火構造の壁で囲む
内装制限天井や壁は、仕上げを不燃材料、下地を不燃材料で造る
照明設備採光上有効な窓』又は『予備電源を有する照明設備』を設ける
スパンドレル階段室の屋外に面する壁に設ける開口部※は、階段室から90㎝以上の距離に設ける(ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合を除く) ※開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。
階段室の屋内に設ける窓(バルコニー及び付室に面する部分以外)階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けない
階段室の屋内に設ける窓(バルコニー及び付室に面する部分)階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
バルコニー及び付室に設ける開口部階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けない
10階段に通ずる出入口屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口→特定防火設備で所定の構造※であるものを設ける バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口→防火設備で所定の構造※であるものを設ける ※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの
11階段の構造耐火構造とし、避難階まで直通する
12バルコニー及び付室の面積建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる特別避難階段の十五階以上の各階又は地下三階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては百分の八、その他の居室にあつては百分の三を乗じたものの合計以上とする

特別避難階段は、一見複雑そうにみますが…付室を設けることと、開口部の制限の話がほとんどなので、そこまで内容が難しいわけではありません!

ただ、そうは言っても、国土交通省の告示についての解説などは複雑なので、特別避難階段に関しては、詳細な解説を別の記事でしたいと考えています。

避難階段の『階段の寸法』は厳しくなる?

避難階段であっても、基本的には、階段の寸法は直通階段と同じです。
ただし、物品販売業を営む店舗に限り、強化される可能性あり

避難階段は、直通階段の仲間です。基本的には、直通階段と階段の寸法についての規制は同じになります。階段の寸法については、以下の記事を参考にしてください。

階段の寸法|基準や踏面、理想的な蹴上について

しかし、物品販売業を営む店舗の場合は、階段の寸法が強化される規定があります。したがって、通常の直通階段の寸法よりも厳しい規制を受ける可能性があります。

物品販売業を営む店舗の避難階段は、直上階の最大床面積100㎡あたり60㎝の階段幅が要求されます。(令124条1項)

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まとめ

✔️避難階段は、以下の建築物の部分に必要になる

必要になる建築物必要になる避難階段
5階〜14階建ての建築物 地下2階の建築物 3階・4階を物品販売店舗※とした建築物以下3つのいずれかの避難階段 屋内避難階段 屋外避難階段 特別避難階段
15階建て以上の建築物 地下3階以下の建築物 5階以上の階を物品販売店舗※とした建築物特別避難階段

※…床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る(令121条1項一号により)

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

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