避難安全検証法とは?最低限知っておきたい情報をわかりやすく解説

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

避難安全検証法とは、所定の計算を行うことで建築基準法の防火・避難規定の一部を適用除外できる性能規定。区画・階・全館の3種類があり、排煙設備の適用除外に使われるケースが最も多い。ただし、重複距離・面積区画・避難階の歩行距離(全館を除く)は適用除外できないので注意。

この記事でわかること

  • 避難安全検証法の定義と仕組み
  • 区画・階・全館の3種類の違い
  • 適用除外できる規制の一覧(防火区画・避難施設・排煙設備・内装制限など)
  • 避難安全検証法を使える建築物の条件
  • 適用除外できそうでできない規制(重複距離・面積区画・避難階の歩行距離)
そぞろ

避難安全検証法は、使えると便利な性能規定です!
しかもちょっとマイナーなので詳細な内容は防災コンサルさんしか知らなかったりします…
そこで、今回は最低限知っておいて欲しい避難安全検証法の話をわかりやすく解説して行きます!

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避難安全検証法とは?

避難安全検証法とは…

所定の計算を行うことにより、避難・防火規定の一部を適用除外することが出来る性能規定

建築基準法には、仕様規定と性能規定が存在しています。仕様規定は、法文に書いてある具体的な内容をそのまま適用させればok。一方、性能規定は法文に書いてある『性能』を満たしていることを検討する代わりに、建築基準法一部の規制を適用除外することが出来ます。

避難安全検証法は、性能規定です。つまり、法文に記載されている『性能』を計算等で確かめることが出来れば、建築基準法の一部、主に防火・避難規定を適用除外することが出来ます。

その性能や確かめる方法が以下の法文に記載されています。

施行令告示
区画避難安全性能を有するもの第128条の6告示474号・509号
階避難安全性能を有するもの令129条告示475号・510号
全館避難安全性能を有するもの第129条の2告示476号・511号

なるほどね。ところで、区画・階・全館って項目が分かれているけど、これはどういうこと?

避難安全検証法は、建築物のどこの部分で検討をするかで、区画・階・全館の3つの検討方法に分かれるのです!後ほどの適用除外の部分でも登場するので、ざっくりですがまとめておきます。

区画避難安全性能を有するもの建築物の区画された部分のみで検討を行う
階避難安全性能を有するもの建築物の階のみで検討を行う
全館避難安全性能を有するもの建築物全体で検討を行う

適用除外できる規制一覧

避難安全検証法を行なった場合、建築基準法の一部の規制を適用除外することが出来ます。その項目を、一覧にしてまとめました。

項目条項規定の概要○:適用除外できるもの
区画避難安全性能を有するもの階避難安全性能を有するもの全館避難安全性能を有するもの
防火区画112711階以上の100m²区画──○
11竪穴区画──○
12竪穴区画──○
13竪穴区画──○
18異種用途区画──○
避難施設119廊下の幅─○○
120直通階段までの歩行距離─○○
1231屋内避難階段の構造
第一号 耐火構造の壁
第六号 防火設備
──○
2屋外避難階段の構造
第二号 防火設備
──○
3特別避難階段の構造
第一号 付室の設置
第二号 排煙設備の設置
第十二号 付室などの面積
─○○
第十号 防火設備─○○
第三号 耐火構造の壁──○
1241物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅
第二号 階段への出口幅
─○○
第一号 避難階段等の幅──○
屋外への出口1251屋外への出口までの歩行距離──○
3物品販売業を営む店舗における屋外への出口幅──○
排煙設備126の2排煙設備の設置○○○
126の3排煙設備の構造○○○
内装制限128の5特殊建築物等の内装(第2、6、7項および階段に係る規定を除く) 自動車車庫等、調理室等○○○

色々な規定が適用除外できますが、圧倒的に多いのは排煙設備です!

排煙設備は、告示で逃げる事も出来ます。ただし、居室で床面積100㎡を超えてくると、告示で逃げることは出来ません。つまり、排煙設備の設置が必要ということです。自然排煙設備ならまだしも、機械排煙設備の施工費は結構かかります。だから、避難安全検証法で適用除外してしまうケースが多いです。

排煙設備の緩和については以下の記事を参考にしてください。

他には、一応は内装制限も適用除外出来ますが、あまり除外はされません。なぜなら、避難安全検証法の計算の中に、内装によって異なる数値があるのですが、この数値が内装を準不燃材料以上にしないと計算の足をかなり引っ張って、成立が難しくなるからです。ただし、絶対にできないというわけではなく、ルートCやルートB2の場合は内装を準不燃材料以上にしなくとも成立する可能性が高いようです。(ルートA・B・Cの違いについては、後日解説を出そうと思っています)

避難安全検証法を使うことが出来る建築物について

避難安全検証法を使うことができるのは以下2つどちらも満たす建築物

  • 主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られた建築物※1
  • 自力避難が困難と考えられる用途(病院、診療所、児童福祉施設、老人ホームなど)以外の用途であること※2

※1…ルートCの場合は例外もあり得る

※2…ルートB2やルートCの場合は自力避難が困難と考えられる用途でも可能な場合がある

まず、それぞれの避難安全検証法の施行令により『主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られた建築物』にしか適用出来ない旨が記載されています。

また、用途については自力避難が困難と考えられる用途は原則として除かれています。

一応、ルートB2やルートCであればこの条件を満たす必要が無いようにも法文に記載さてています。しかし、法文でそのように読めるだけで、実際に計画するのは困難です。実質、この条件を満たさなければ避難安全検証法は使えないと考えておいた方がいいでしょう。

思ったり、色んな建築物で避難安全検証法は使えそう!

そうですね!ただ、実際にはこの他にも共同住宅・戸建住宅・ホテルなどの用途の建築物には避難安全検証はあまり使われません!

なぜなら、共同住宅・戸建住宅・ホテルは令126条の2第1項一号等の区画をすれば簡単に排煙設備なんかは適合出来てしまうので、あまり避難安全検証法を適用するメリットがありません。また、計算上も天井高さがあまり高くない為、成立も難しいです。

避難安全検証法で注意すべき事項

避難安全検証法を使おうと思っているけど、何か注意すべきことは?

下記3つの規定は、適用除外出来そうで出来ない規制なので、そちらは最低限把握しておいた方がいいです。

・重複距離

・面積区画

・避難階の歩行距離(ただし、全館避難安全検証法を除く)

せっかく避難安全検証法を使ったのに、期待していた規制の適用除外が出来ないのはかなり痛いです。しかも、避難安全検証法には、適用除外出来そうで、出来ない紛らわしい規制があります。

それぞれ、注意点を説明していきます。

重複距離

歩行距離(令120条)は適用除外出来るのですが、重複距離(令121条3項)は適用除外出来ません

避難安全検証法では、歩行距離(令120条)の適用除外を受けることが多いです。平面的に大きな建築物だと、結構簡単に歩行距離が適合しなくなります。階段を増やせば適合するかもしれませんが、それが難しい場合は避難安全検証法はかなり有効です。

だからこそ、頭から抜けてしまうのですが、似たような規制の重複距離(令121条3項)は避難安全検証法で適用除外出来ないのです。

重複距離が避難安全検証法で適用除外できないことは、勘違いをしている方が最も多いので、特に注意が必要です…!

面積区画

防火区画の4つ(面積区画・高層区画・竪穴区画・異種用途区画)の中で唯一、面積区画だけは適用除外が出来ません。

他の区画が適用除外できるだけに、勘違いが発生しやすい規制なので注意が必要です。

避難階の歩行距離(ただし、全館避難安全検証法を除く)

避難階以外に適用される歩行距離(令120条)は階避難安全検証法で適用除外できるにも関わらず、

避難階に適用される歩行距離(令125条)は階避難安全検証法で適用除外が出来ず、全館避難安全検証法までしなくてはなりません。

同じような歩行距離についての規定にも関わらず、適用除外ができる検証法が異なるというのが紛らわしいです。

当然、階避難安全検証法より全館避難安全検証法の方が検討すべき内容が多く、成立も難しいです。階避難安全検証法で避難階の歩行距離の規制も適用除外できると勘違いしてしまうと、大変なことになります。注意するようにしましょう。

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まとめ

  • 避難安全検証法:所定の計算で建築基準法の一部を適用除外できる性能規定
  • 全館・階・区画の3方法があり、それぞれ適用除外の範囲が異なる
  • 適用できる建築物:主要構造部が準耐火構造または不燃材料、かつ自力避難困難用途以外
  • 適用除外できない規制:重複距離・面積区画・避難階の歩行距離(全館は除く)
  • 最も使いやすいのは「1室だけ区画して区画避難安全検証法を行い排煙設備を除外する」パターン

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。