今回は『建築基準法改正の基準時』について解説します。
建築基準法改正は、ほぼ毎年行われています。
いつから改正されるかは確認をされているかと思います。
そこで、みなさん『法改正後の基準』がどの建築物が適用されるか知っていますか?
どの時点の建築物か、考えたことありますか?
確かに『施行日』以降、建築基準法は改正されますが、
『施行日より後に確認済証が下りた建築物』が改正後の基準適用対象なのか、
『施行日より後に確認申請を受付した建築物』が改正後の基準適用対象なのか、
こちらを把握しておく事は大事ですよね。
答えは、『着工日』で改正後なのか、改正前なのか決まります。
そこで、今回は
①改正前なのか、改正後なのか『着工日ベース』での考え方
②基準法時が着工日である法的根拠
について解説します。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
改正前なのか、改正後なのか『着工日ベース』での考え方
建築基準法の改正前の適用なのか、改正後の適用なのかというのは、『着工日』で決まります。
基準時が着工日である法的根拠
建築基準法第3条 適用の除外 (省略) 2 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。
(省略)
建築基準法第3条は、建築基準法の適用を受けない建築物についての記載になっています。
そこで、注目していただきたので、赤文字で強調した部分です。
『現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物』
そう、工事中とありますよね。
つまり、
着工さえしてしまえば、工事中の建築物となるので、改正後の適合の必要はありません。
しかし、あくまで改正後の基準に適合の必要が無いだけで、改正前の基準に適合させる必要はあります。
そういった法改正後に適合していない建築物は、法改正日の施行日から『既存不適格建築物』になってしまいます。
工事中、工事完了後は関係無いのです。
※既存不適格建築物については後日記事にします。