代替進入口はどんな建築物に必要になるの?
代替進入口ってどこに設置すればいいの?
代替進入口の開口部にサイズなどの定めはある?
こんなお悩みに、答えます!
まずは結論から…
非常時に消防隊が外部から進入するための開口部
代替進入口とは、非常用進入口に代わる窓のことで、建築物の高さ31m以下にある3階以上の部分に必要になる
代替進入口は、『道』又は『道に通ずる幅員4m以上の通路』の壁面の長さ10m以内ごとに設ける
代替進入口は、幅75㎝以上高さ1.2m以上』又は『直径1m以上の円が内接』できるもので、「進入を妨げる構造」としてはならない
代替進入口は、サイズは『今回の記事では代替進入口の基準についてわかりやすく解説します!(X:sozooro)
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
『非常用の進入口』と『代替進入口』の違いとは?
非常用進入口に代わる窓のことで、非常時に消防隊が外部から進入するための開口部
代替進入口は、法文の書かれ方としては、原則として非常用の進入口が必要ですが、ただし書きとして、代替進入口の設置でもOKと書かれています。
非常用の進入口の定義は、令126条の6に書かれています。原則としては、非常用の進入口が必要なのですが、構造に関する規定が厳しいため、計画が難しいです。
そこで、実務上は令126条の6のただし書として記載されている代替進入口で計画を行うことが多いです。
進入口が必要な建築物は?
階数が3以上の建築物に設置が必要
代替進入口は、ちなみに、このとき建築物に居室があるかどうかは問いません。例えば、3階建ての自転車駐輪場のような、居室がない建築物に対しても必要になります。
ただし、屋上部分の階段室。階数に該当しないものについては不要です。(階と階数の解説についてはこちら)
進入口の設置が必要な階は?
建築物の高さ31m以下にある3階以上の部分に設置が必要
進入口は、つまり、建築物の高さが31mを超える建築物の部分については、代替進入口の設置は不要ということになります。
代替進入口の構造は?
進入を妨げる構造でないもの
代替進入口は以下のサイズ以上で、- 高さ1200mm✖️幅750mm以上の開口部
- 直径1m以上の円が内接できる開口部
要は、消防活動に必要な開口部です。。消防隊員がそこから進入しますので、人通れるくらいの開口部は必要です。
実際に人が通れなければならないので、有効寸法です。引き違いだったら開けた時の寸法、はめ殺し窓(FIX)だったら割った時の寸法、となります。
参考書で記載されている内容を確認して見ましょう!
進入を妨げる構造
- 外部から開放不能なドア
- 金属製格子・手すり(破壊の容易な木製のものは可)がついたもの
- ルーバーがついたもの
- 窓等を覆う看板・広告板・ネオン管等が着いたもの
根拠は、建築物の防火避難規定の解説2016(第2版)p98です。詳しくは、以下の書籍で確認をするようにしてください。
代替進入口が必要な箇所とは?
『道』または『道に通ずる4mの通路』これに面する外壁面に10m以内ごとに設置必要です。
代替進入口は稀に、行政のより扱いによって、道にも4m通路にも代替進入口が必要になることがありますが、基本的にはどちらかだけでOKです。
それぞれに設置するパターンを確認していきましょう。
『道』に設置するパターン
代替進入口は2箇所必要になる
『道』に設置する場合、2方向道路に面していたり、接道が2箇所あった場合は、2方向道路に面していて外壁長さ合計10mを超えているパターン | 接道が2箇所あった場合は代替進入口2箇所必要。 |
代替進入口は、圧倒的に道に設置するパターンが多いです。しかし、2方向道路に面して応たりすると、外壁長さが10mを超えてしまうため、代替進入口が2箇所必要になりやすいです。
『道に通ずる4mの通路』に設置するパターン
敷地内に十分な空地を確保する必要がある。ただし、代替進入口の設置数を減らすことができる可能性がある
『道に通ずる4mの通路』に設置する場合、4m通路に面しているのは10m以下なので1箇所でok | |
外壁長さが10mを超えた場合の設置方法は?
10mごとに区切る
代替進入口は、10mごとに設置する、では無く例えば、こちらの計画に代替進入口を設置する場合を考えて見ましょう。
状況整理 | |
|
A-B-Cに対して、代替進入口を2箇所設置しなければなりません。さて、どこに代替進入口を設けましょうか?
代替進入口が10m以内ごとに区切られた位置に計画されていない
10mごとに区切った範囲であれば、代替進入口同士が10m以上でもokです!
よくある質問
Q.路地状敷地の場合、進入口の計画はどうするか?
ただし、特例を使うためには条件がありますので確認してみましょう。
代替進入口が道路に面するとみなされる特例を使う条件
- 道から進入口までの延長長さが20m以下
- 建築物の階数が地階を除く3階建て
- 特殊建築物以外
- 道から進入口が目視可能
①道から進入口までの延長長さが20m以下
ポイントは、あくまでも『道』から『進入口』までの距離についての規制であるため、右図のように路地状部分に建築物を計画して、20m以下にすることも可能です。
④道から進入口が目視可能
Q.バルコニー経由で進入口を設けることは可能か?
バルコニー経由で計画することは可能です。計画によっては、道路側の外壁面に開口部をなくすこと出来ます
代替進入口を代替進入口は道路か4m通路に面する外壁部分に設ける事を原則としていますが、バルコニーに進入してから建物内に進入する事も認めています。
つまり…
これが | ⇨ | こうなる |
バルコニー経由で建物に進入することによって、道路側の外壁に開口部を設ける必要が無くなるので、一戸建て住宅だとバルコニー経由で計画しているものが多いですね。
ちなみに、代替進入口は建築基準法のみで消防法にはない
これはマメ知識くらいに思ってくれていいのですが、代替進入口は消防活動のためとか言っていますが、代替進入口の話って建築基準法にはありますが、消防法には無いみたいですね。
だから、代替進入口の規定は行政庁や審査機関と協議するのが原則です。
でも、実際のところは結局は微妙なケースは消防と協議して進めている事がほとんどです。実際に消防隊員が進入して消防活動をするわけですから、彼らが無理です。進入できません。って言ってるものだったら無理だからです。
まぁ、消防同意送った時は代替進入口の設置ができていなかった場合はめちゃくちゃ怒られますし、消防の方もそこは気にしているようですからね。
代替進入口の確認をする時に全力でおすすめの書籍
建築物の防火避難規定の解説
もう知っているよ!という方もたくさんいらっしゃると思いますが、代替進入口の判断で迷ったら間違いなくコレという書籍をご紹介します。
こちらは審査機関だけでなく、特定行政庁も確認している超重要書籍です。
曖昧な防火避難規定の詳細内容の記載も盛りだくさんです。そんな大げさに高くないので、ポチっとしてしまいましょう。
まとめ:3階建には適合が必要な厄介な条文
✔️非常用の進入口又は代替進入口が必要な建築物は階数が3以上の建築物
✔️代替進入口は建築物の高さ31m以下にある3階以上の部分に設置が必要
✔️代替進入口は以下のサイズ以上で、進入を妨げる構造でないもの
- 高さ1200mm✖️幅750mm以上の開口部
- 直径1m以上の円が内接できる開口部
✔️代替進入口は『道』または『道に通ずる4mの通路』これに面する外壁面に10m以内ごとに設置必要です。