例を挙げると、後退緩和、高低差緩和、天空率など。
ここで、道路斜線の検討の際、道路と敷地に高低差がある場合は
緩和は『一長一短』です。
文字通りなんですが、
高低差がある事によって有利に働く事が1つ(高低差緩和)
高低差がある事によって不利に働く事が1つ(後退緩和)
なんです。
ここで、問題なのが
という認識はあるのに
という認識が薄いという事!
そこで、今回は『道路と敷地の高低差がある時の後退緩和の注意点』についてご説明します。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
後退緩和を使う時の条件を整理する
後退緩和(法第56条第2項)の距離は原則、道路境界線から建築物までの距離となります。
しかし、令130条の12に該当する建築物の部分は無視していいという決まりになっています。
建築基準法施行令第130条の12 法第56条第2項及び第4項の政令で定める建築物の部分は、次に掲げるものとする。
一 物置その他これに類する用途に供する建築物の部分で次に掲げる要件に該当するもの
イ 軒の高さが2.3m以下で、かつ、床面積の合計が5m2以内であること。
ロ 当該部分の水平投影の前面道路に面する長さを敷地の前面道路に接する部分の水平投影の長さで除した数値が1/5以下であること。
ハ 当該部分から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものが1m以上であること。
二 ポーチその他これに類する建築物の部分で、前号ロ及びハに掲げる要件に該当し、かつ、高さが5m以下であるもの
三 道路に沿つて設けられる高さが2m以下の門又は塀(高さが1.2mを超えるものにあつては、当該1.2mを超える部分が網状その他これに類する形状であるものに限る。)
四 隣地境界線に沿つて設けられる門又は塀
五 歩廊、渡り廊下その他これらに類する建築物の部分で、特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況を考慮して規則で定めたもの
六 前各号に掲げるもののほか、建築物の部分で高さが1.2m以下のもの
そう、この条文に該当すればね。。。
敷地と道路の高低差がある時は、塀の高さを1.2m以下に該当させる事が難しい
先程の条文の中でも赤ラインを引きました。
“道路に沿つて設けられる高さが2m以下の門又は塀(高さが1.2mを超えるものにあつては、当該1.2mを超える部分が網状その他これに類する形状であるものに限る。)”
これが、高低差ある時の要注意なんです。
イメージとしては、以下のような門又は塀は令130条の12に該当するので無視する事ができます。
さて、この1.2mや2mの高さってどこからの高さだと思いますか?
敷地からの高さでしょうか?建物の平均GLからの高さ?
答えは…
そう!道路からの高さという事は、
高低差が大きい程、高い塀を計画する事ができません!
もし、これより道路からの高さが1.2m(2m)を超えてしまった場合、後退緩和の距離は建築物まででは無く、塀までになってしまいます。
そうすると、ほとんど後退緩和が使えないという事になりますね。
落下防止の観点から常識的にはあり得ないのかもので、事前に知っておいて、慎重に計画をすべき内容だと思います。
まとめ:道路と敷地の高低差がある時は、高低差緩和は使えないと考えた方がいい
後退緩和は施行令第130条の12に記載がある建築物は無視して考えてもいいのですが、
その中でも塀の高さは道路の中心からの高さとなるので、
塀の高さを1.2m以下(透過性がある部分については2m)にする事が難しいです。
だから、もうある程度高低差がある敷地だった場合、もう後退緩和は使えないと考えた方がいいです。
こちらの内容は、非常に重要な内容になるので、
ブログの内容だけで無く、しっかりした図書で確認してみてください。