問題大有りです。
この勘違い多すぎませんか?もちろん法適合必要ですよ!と、今日は声を大にしてご説明したい。
結論からお伝えすると、
物置(倉庫)は
建築基準法への適合→原則必要(原則なので例外有。そちらも解説します)
確認申請→原則必要(防火地域、準防火地域以外の10㎡以内の増築などは不要)
そこで、今回は
①物置は土地に定着してないし建築物ではない
②10㎡以外だから法適合不要
この2点を踏まえた上で、それでも物置は建築基準法に適合させなければならないし、場合によっては確認申請が必要という事をお話ししていきます。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
そもそも物置は土地に定着していないし建築物ではない!を論破する
建築物の定義について確認しましょう。
法第2条一号 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
土地に定着する、となっていますね。
なるほど、ポンと置いてある場合については土地に定着していないと判断されているという事ですね。確かに悩ましいところではありますが、
天下の国土交通省が取り扱いを出しています。
コンテナを倉庫として設置し、継続的に使用する例等が見受けられますが、このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します。
国土交通省 コンテナを利用した建築物の取り扱いについて より
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000058.html
例は、コンテナに関してのものですが、『随時かつ任意に移動できない』場合は土地に定着すると考えるべきでしょう。
というわけなので建築物です。
詳しくは、以下の記事で確認してください。
10㎡以下だし、法適合させる必要ないでしょ!を論破する
おそらく、確認申請が必要ではない建築物の話とごっちゃになっているんだと思いますが、
物置であっても、建築物なので、原則として法適合が必要
構造規定などもしっかり適合させなければいけません。
よって、確認申請は原則として必要
ただし、①防火地域、準防火地域以外の10㎡以内の増築の建築物は不要②都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区内、知事指定区域以外に計画する場合も四号建築物であれば不要
詳しくは、以下の記事で確認してください。
ただし、例外もあります。
建築基準法に適合できない。確認申請を出したくない。そんな方へ。
実は例外もあります。
要は、建築物に該当させなければいいわけです。
建築物に該当させなければ、確認申請も要らないし、法適合も不要です。
でも、法文を読むと、まだ建築物に該当させない手段がある事がわかります!
ということで法文を再度確認しましょう。
法第2条一号 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
建築物に該当させない為には、貯蔵槽その他これらに類する施設を除くに該当させるしかありません。
実がこちらに該当するという取り扱いが出ています。
土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含)のうち、奥行きが1m以内のもの又は高さが1.4m以下のものは、建築物に該当しない。
建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例2017年度版 より
抜粋になりますが、『建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例』では上記に該当すれば、貯蔵槽その他これらに類する施設を除くに該当させる事ができるとあります。
この建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例なんですが、かなり根拠としては強いです。日本建築行政会議が編集をしているものです。
条件として少し厳しいのですが、こんな方法もありますのでどうしても、という時は該当させて進めてもいいかもしれません。
ちなみに、この小規模倉庫の定義については各行政庁で独自に取り扱いを一部公開しています。そちらの方が緩かったりするので取り扱いが出ていればそちらを優先して考えていいと思います。
まとめ:物置を残す時は例外を除き法適合させるべし
いかがでした?既存の物置を残すのって結構難しいんです。
大体既存で既に建っている倉庫は高さもあり小規模倉庫には該当させる事ができないので法適法をさせるか、撤去させるかありません。
もしどうしてもという事であればダメ元で行政庁に小規模倉庫の定義を確認してみるしかないかと思います。(ほとんどは事例集通りと言われる事が多いですが。