どんな建築物が消防同意が必要になるの?
消防同意のかかる期間は?
消防同意に必要な書類は?
こんなお悩みに、答えます!
まずは結論から…
建築主事等から消防長又は消防署長に対して、同意を求めること
消防同意とは、確認申請時、以下を除く全ての建築物に必要
消防同意は、- 防火地域、準防火地域以外の一戸建て住宅(併用兼用なら住宅以外の用途が住宅部分の1/2未満、50㎡以内)
建築基準法6条1項四号の建築物なら3日以内、それ以外なら7日以内
消防同意にかかる期間は、申請する消防署による
消防同意に必要な書類は、それなりに期間が必要なので、事前に消防同意が必要なのかどうか、把握しておきましょう!(X:sozooro)
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
消防同意とは?
建築主事(又は指定確認検査機関)から消防署長に対して、同意(消防法の確認)を求めること
消防同意とは、確認申請時に、消防同意は、基本的には建築主事や指定確認検査機関が消防署に同意を求める行為です。だから、必要があれば、申請先が対応してくれる手続きです。しかし、設計者もある程度、消防同意が必要になった場合の影響があることを把握しておく必要があります。
まず、『申請費用』についてです。消防同意が必要のなった場合、原則として、申請費用が加算されます。申請先は、消防署に郵送する費用などを負担します。これらの費用を、申請者に負担するので、申請費用が加算されることになります。(と言っても、基本的に数千円程度で、そこまで高くはなりません。)
次に、『申請期間』についてです。以下の流れを確認してもらうとわかるように、消防同意が必要になった場合、確認申請の受付をしてから、消防署に送付をします。そして、そこから消防署を確認をします。ある程度の期間がかかるということです。
不安であれば、申請先に、いつの段階で消防同意に送るのかは確認しておいた方がトラブルを防止できます。
消防通知とは?
消防同意を行なっていない建築物の計画を、消防署に通知するものです。
消防通知とは、具体的には、確認済証が交付されたら、建築主事・指定確認検査機関から消防署に向けて、建築計画概要書などを送付することです。
消防同意がない建築物は、同意がない代わりに通知になります。こちらは、確認済証が交付されたら、建築主事や指定確認検査機関から消防署に送っているので、申請者は得に気にする必要はないでしょう。
消防同意が『必要になる建築物』とは?
消防同意は、ほとんどの建築物に必要
消防同意が不要なのは、下記の建築物のみ
- 防火地域、準防火地域以外の一戸建て住宅
- 防火地域、準防火地域以外の併用住宅(住宅以外の面積がの1/2未満、50㎡以内に限る)
消防同意は、ほとんどの建築物に必要で、不要なのは一部の住宅のみです。念の為に、法文でも確認してみましょう。
消防法第7条1項
建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替、用途の変更若しくは使用について許可、認可若しくは確認をする権限を有する行政庁若しくはその委任を受けた者又は建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条の二第一項(同法第八十七条第一項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による確認を行う指定確認検査機関(同法第七十七条の二十一第一項に規定する指定確認検査機関をいう。以下この条において同じ。)は、当該許可、認可若しくは確認又は同法第六条の二第一項の規定による確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可、認可若しくは確認又は同項の規定による確認をすることができない。ただし、確認(同項の規定による確認を含む。)に係る建築物が都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第8条第1項第五号に掲げる防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅(長屋、共同住宅その他政令で定める住宅を除く。)である場合又は建築主事が建築基準法第87条の4において準用する同法第6条第1項の規定による確認をする場合においては、この限りでない。
消防法施行令第1条
消防法(以下「法」という。)第7条第1項ただし書の政令で定める住宅は、一戸建ての住宅で住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が延べ面積の1/2以上であるもの又は50㎡を超えるものとする。
法文の書かれ方的には、防火・準防火地域の住宅は消防同意が不要ですが、長屋・共同住宅・所定以上の併用住宅は除かれているという書き方になっています。だから、最初にまとめた内容になっているのです。
一戸建て住宅の敷地に、『倉庫』を増築する場合
一戸建て住宅の敷地に、住宅用倉庫を計画する場合は、消防同意が必要か確認が必要
一戸建て住宅は消防同意が不要ですが、倉庫だったら消防同意が必要です。
そこで、一戸建て住宅の敷地に別棟で倉庫を増築する時は消防同意の要否の取り扱いが別れる事があります。
実際に、消防同意必要と判断した消防署もありますし、不要と判断した消防署もあります。
『防火地域、準防火地域』と『防火指定無し』をまたいでいる敷地
『防火地域、準防火地域』と『防火指定無し』も、消防同意が必要か確認が必要
こんな計画の場合この計画の場合、建物には防火地域、準防火地域の法規制はかかりません。
でも、消防同意は必要な場合があります。(と、いうより必要な事がほとんどです。)
防火地域と防火指定を跨いでいる場合の法文はありますが、建築基準法です。
消防同意が必要かどうかってあくまで消防法の話なので、跨いでいる場合は必要と考えた方がいいです。(私は経験ありませんが、もしかしたら消防署によっては不要と判断するかもしれませんし、確認はしてもいいかもしれません)
消防同意にかかる『期間』とは?
消防同意の期間は、
四号建築物であれば、3日以内
それ以外の建築物であれば、7日以内
消防同意の期間は、四号建築物か、それ以外の建築物かで決まります。四号建築物とは、以下の建築物のことです。
四号建築物とは?
以下2つ全て満たすもの
用途が原則、特殊建築物ではない事
(特殊建築物だった場合、200㎡以下である事)
規模が以下のいずれかに該当する事
- 木造建築物で階数2以下、延べ面積500㎡以下、最高高さ13m以下、軒高9m以下(全て満たす)
- 木造以外の建築物で階数1階、延べ面積200㎡以下(全て満たす)
なお、この日数は、指摘がなかった前提での話です。指摘などが出てしまっている場合は、これ以外の日数が必要になります。
消防署も土日とか、休んでいるんじゃないの?
だから、年末年始などの長期休暇の場合は、この日数をNGにさせないために、発送の締め切りが設けられているので注意です…!
では、消防同意の期間について、法文で確認しましょう。
消防法第7条2項
消防長又は消防署長は、前項の規定によつて同意を求められた場合において、当該建築物の計画が法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(建築基準法第六条第四項又は第六条の二第一項(同法第八十七条第一項の規定によりこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により建築主事又は指定確認検査機関が同法第六条の四第一項第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕(同法第二条第十四号の大規模の修繕をいう。)、大規模の模様替(同法第二条第十五号の大規模の模様替をいう。)若しくは用途の変更又は同項第三号に掲げる建築物の建築について確認する場合において同意を求められたときは、同項の規定により読み替えて適用される同法第六条第一項の政令で定める建築基準法令の規定を除く。)で建築物の防火に関するものに違反しないものであるときは、同法第六条第一項第四号に係る場合にあつては、同意を求められた日から三日以内に、その他の場合にあつては、同意を求められた日から七日以内に同意を与えて、その旨を当該行政庁若しくはその委任を受けた者又は指定確認検査機関に通知しなければならない。この場合において、消防長又は消防署長は、同意することができない事由があると認めるときは、これらの期限内に、その事由を当該行政庁若しくはその委任を受けた者又は指定確認検査機関に通知しなければならない。
消防同意に必要な書類とは?
消防同意に必要な書類は、消防署によって以下の違いがある
- 消防署が用意している“消防同意調書”の有無
- 確認申請に必要な正本・副本に加えて、“消防審査用の設計図書”が必要
近年は、電子申請は主流ですが、まだまだ郵送で対応する消防署も多いです。手戻りがないように、不備がないようにしたいですよね。
消防署によって、消防同意調書が必要だったり、消防同意の審査用に設計図書が余分に必要になるなど、対応が異なります。
個別で事前に確認を取るのが確実でしょう。
こんなことがないように、事前に確認したいですね!!
まとめ
✔️消防同意が不要なのは、下記の建築物のみ
- 防火地域、準防火地域以外の一戸建て住宅
- 防火地域、準防火地域以外の併用住宅(住宅以外の面積がの1/2未満、50㎡以内に限る)
✔️消防同意の期間は四号建築物かどうかで異なる
- 四号建築物であれば、3日以内
- それ以外の建築物であれば、7日以内
✔️消防同意に必要な書類は、消防署によって“消防同意調書”、“消防審査用の設計図書”を有無が異なる