今回は『建築物省エネの届出と申請の制度』についてです。
改正予定日:2021年4月1日
建築物省エネ法が改正になる事をなんとなく知っている方も、正直内容までよくわかっていないという方が多いのではないでしょうか。
そこで!法改正の内容を交えつつ、まじでこれだけは押さえてほしい超重要ポイントをまとめました。すぐ読める内容なので、手続きで事故を起こさない為に確認ください。
建築物省エネ法には『届出義務』と『適合義務』がある
まず、建築物省エネ法には『届出義務』と『適合義務』に分かれています。
『届出義務』は、読んで字のごとく、届出をするだけです。届出をする事は義務ですが、基準への適合義務はありません。(ただし、基準に適合せず、必要と認める場合は指示・命令があります。)
一方、『適合義務』は届出義務よりずっと厳しいです。申請をして、絶対に基準に適合をさせなくてはいけません。
もし義務をしなかったら…?
届出義務 | 50万円以下の罰金 |
適合義務 | 確認済証が交付出来ない(確認申請と連動するから) |
適合義務の場合、『省エネ適合判定』という申請をして、その判定書を添付しないと確認申請が交付できません!
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
『届出義務』と『適合義務』が必要な建築物は?
『届出義務』と『適合義務』どちらになるのか?はたまた、努力義務になるのか?判別する為に必要な情報は2つです。
①用途(住宅か?非住宅か?)
②床面積(※開放されている部分は除く事)
こちらの2点がわかれば、判別する事ができます。
改正前と改正後の違いがわかるように記載しておきます!
改正後は、非住宅の300㎡以上の建築物も適合義務(省エネ適判)になりました
そして…なぜか、この表を見せると、『共同住宅の300㎡超え』も適合義務と勘違いする方が多いのですが…
共同住宅は、住宅扱いだからです!
おそらく、『住宅=一戸建て住宅』と勘違いされている方が多いのかもしれません。住宅とは、共同住宅を含みます。(建築物省エネ法施行令第3条より)
◆一戸建て住宅
◆長屋
◆共同住宅
◆寄宿舎
だから、共同住宅や寄宿舎は適合義務にはなりません。(300㎡超えたら、届出)
あと、複雑になるので詳細には説明しませんが、この法律に適合させなくていい建築物について建築物省エネ法第18条に記載があります。合わせて確認してみてください。(畜舎や自動車車庫などの居室が無くて高い開放性がある建築物は適用除外です。)
超重要!開放されている部分は床面積から除いてください!
今回、努力義務か適合義務か判断する上で、面積は非常に大きなポイントになっていますよね。しかし、ここで床面積の考え方で間違えてはいけない事があります。
『省エネ法の判断する床面積≠建築基準法の床面積』
一致しない!なぜなら、開放されている部分は除かなければならないから!
それは、建築物省エネ法施行令第4条に記載があります。
法第十一条第一項のエネルギー消費性能の確保を特に図る必要がある大規模なものとして政令で定める規模は、床面積(内部に間仕切壁又は戸を有しない階又はその一部であって、その床面積に対する常時外気に開放された開口部の面積の合計の割合が20分の1以上であるものの床面積を除く。第十四条第一項を除き、以下同じ。)の合計が二千平方メートルであることとする。
つまり、建築基準法の床面積に参入されている部分も、『その床面積に対する常時外気に開放された開口部の面積の合計の割合が20分の1以上であるもの』がある場合は省エネ法の判断する床面積から除く必要があります。
考えられるのは、非開放ピロティとか、非開放廊下や非開放バルコニーだと思います。建築基準法の面積には算入必要ですが、省エネの判断の面積からはちゃんと除いてから面積判断をするようにしましょう!
届出、申請はどこにすればいいの?
もし届出義務、適合義務が必要になった場合、申請はどこにすればいいのかまとめました。
届出義務 | 特定行政庁(★指定確認検査機関では無い) |
適合義務 | 特定行政庁 or 登録省エネ判定機関 |
基準内容をもっと知りたい!
今回ご紹介したものは、あくまで概要のみです。
もし、具体的な適合内容などを確認したい場合、国土交通省が『オンライン講座』を行なっています。
私の記事の内容以上にもっと詳しく、基準内容まで記載がありますので、そちらも確認してみてください。
最後までありがとうございました!