店舗併用住宅 や 事務所兼用住宅 など
住宅以外に事務所や店舗の用途があると、兼用住宅とか 併用住宅とか言ったりしますよね。
まず、この兼用住宅と併用住宅、間際らしいこの2つなんですが、
実は形態で明確に区別されています。
そして、建築基準法も明確に兼用住宅と併用住宅では、区分されており、
兼用住宅の方が建てやすい事になっています。
今回は、
◆兼用住宅と併用住宅の形態の違い
◆兼用住宅と併用住宅の建築基準法上の違い
について解説します。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
兼用住宅と併用住宅の形態の違い
ポイントは、『中で行き来ができるかどうか?』です。
兼用住宅の条件として、『住宅と非住宅部分が構造的にも機能的にも一体となっていて用途上分離し難いもの』とあります。
中で行き来が出来なければ、構造的、機能的一体と言えないので、住宅部分と事務所店舗部分が中で行き来が出来る事が兼用住宅の条件となっています。
兼用住宅と併用住宅の建築基準法上の違い
ズバリ、建築基準法上の大きな違いは『法第48条の用途地域』です。
法第48条は、建築基準法が建つか建たないかを分かつ超重要法文です。
そんなこの条文ですが、兼用住宅と併用住宅では、
圧倒的に『兼用住宅』が有利になります。
なぜなら、兼用住宅ならば、第一種低層住居専用地域内にも、店舗や事務所を建てる事ができるから!
なぜ、兼用だったら第一種低層住居専用地域内でも建てられるのでしょうか?
建築基準法で確認してみましょう。
建築基準法第130条の3 第一種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅 法別表第2(い)項第二号(法第87条第2項又は第3項において法第48条第1項の規定を準用する場合を含む。)の規定により政令で定める住宅は、延べ面積の1/2以上を居住の用に供し、かつ、次の各号の一に掲げる用途を兼ねるもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が50m2を超えるものを除く。)とする。
一 事務所(汚物運搬用自動車、危険物運搬用自動車その他これらに類する自動車で国土交通大臣の指定するもののための駐車施設を同一敷地内に設けて業務を運営するものを除く。)
二 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店
三 理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
四 洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店その他これらに類するサービス業を営む店舗(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)
五 自家販売のために食品製造業(食品加工業を含む。第130条の5の2第四号及び第130条の6において同じ。)を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)
六 学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設
七 美術品又は工芸品を製作するためのアトリエ又は工房(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)
もうずばり、法文の名称に、『兼用住宅』と記載がありますね。
よって、兼用住宅(中で行き来ができる)であれば、ある条件が揃えば、第一種低層区域に建築する事が可能です。
そのある条件とは、3点あります。
①内部で行き来可能(兼用住宅にする事)
②店舗・事務所 ≦ 住宅(住宅の床面積の方が大きい事)
③店舗・事務所 ≦ 50㎡(店舗の床面積は50㎡以下である事)
一覧にして兼用住宅と併用住宅の用途地域等の違いをまとめてみた
第一種低層区域に計画する場合 | ||
兼用住宅 | 併用住宅(単独) | |
◆事務所
◆店舗(令130条の3に該当するものに限る) |
◯(50㎡以下かつ住宅の面積以下) | ✖️ |
まとめ:兼用住宅は第一種低層住居専用区域でも店舗事務所を建てる事ができる切り札
いかがでしたか?
兼用住宅(中で行き来が出来る)、併用住宅(中で行き来が出来ない)
似ているようで、建築基準法で大きな違いがあります。
兼用住宅であれば建築基準法であるように、第一種低層住居専用区域でも
本来だったら単独で計画する事ができない、店舗や事務所を計画する事も可能です。
一方で、併用住宅だった場合、用途地域等の扱いだとあくまで『単独』です。
単独で店舗や事務所が建てられない地域には建てる事はできません。
非常に大きな違いなので、しっかり整理しておきましょう!