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敷地内通路の基準|1.5m・90cm緩和の判定とピロティ・段差の注意点

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計1.9万部)
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

敷地内通路は、『3階建て以上の建築物』または『特定の特殊建築物』において、必要となる避難通路のこと。

必要な幅員は、原則として1.5m以上(延べ面積200㎡未満かつ3階以下の場合は90cm以上)となります。ただし、自治体の条例によって「2m以上」や「3m以上」へと厳しく制限されているケースが非常に多い。

この記事でわかること

  • 敷地内通路が必要になる建築物の条件
  • 用途や規模によって変わる1.5m』と『90cm』の使い分け
  • ピロティや庇(ひさし)がある場合の緩和規定と注意点
  • 全国の設計者を悩ませる『上乗せ条例』への対応策
そぞろ

法文はシンプルで簡単です。しかし、実際に検討を行うと、敷地内通路内に庇がかかる場合、ピロティをまたぐ場合など、悩ましい事例が多いです。また、敷地内通路とセットで検討をしていただきたい条例の注意点なども記事内では解説しています。

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敷地内通路の『適用を受ける建築物』とは?

以下の建築物は、敷地内通路についての規制を受ける(令127条)

  • 別表第一(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物
  • 階数が3以上である建築物
  • 採光無窓・排煙無窓(令116条の2第1項)
  • 延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は合計)が1000㎡をこえる建築物

敷地内通路の規定は、全ての建築物に対して適用されるわけではありません。法文上は、法35条に定める上記の建築物に適用されることとなっています。

これらの建築物は、いわゆる避難規定の適用を受ける建築物のことです。避難規定については、下記の記事で詳しく解説しています。

つまり、上記に該当しない木造2階建ての住宅だったら、敷地内通路の適用は受けない

つまり、上記に該当しない木造2階建ての住宅だったら、敷地内通路の適用は受けないってこと?

その通りです!ただし、常識的に人が通れる程度の敷地内通路の確保は必要かと思います!

敷地内通路の『規制内容』とは?

『屋外への出口・屋外避難階段』から道(公園・広場その他の空地を含む)に通ずる以下の幅員を有する通路を確保すること

階段及び面積通路の幅員
階数が3以下で延べ面積が200㎡未満90 ㎝以上
上記以外1.5m以上

小規模な建築物については90㎝以上、それ以外の建築物については、1.5m以上の幅員を有する通路を確保しなくてはなりません。

実務で結構影響大きいのが、屋外避難階段からも敷地内通路が必要ってところですね。
屋外避難階段は建物の奥の方に計画することが多いので、敷地内通路の存在を忘れると大変なことになります…!

敷地内通路が必要となる、屋外避難階段の定義については、以下の記事を確認してみてください。

続けて、よく上がる疑問をQA方式で解説していきます。

Q.屋外への出口とは?何箇所必要?

屋外への出入口ってどこのこと?屋外への出入り口が複数あることもある場合は、どうするの?

屋外への出入口は、歩行距離の算定でカウントしている出入口のこと
まぁ、よっぽどの広い建築物で、歩行距離が適合しない場合を除き、外部への出入口は1箇所でOKです!

基本的に、『敷地内通路』と『歩行距離』はセットで考えた方がいいです。

歩行距離の規定により、避難階では、『各居室から屋外への出入口』と『階段から屋外への出入口』を指定の距離以下としなくてはなりません。歩行距離については、以下の記事で確認してください。

原則は、屋外への出入口は1箇所でOKなのですが、歩行距離が不足してしまった場合は、2箇所以上計画することも十分にあり得ます。この場合、2つの出入り口は、どちらも敷地内通路を確保する必要があります。

たとえば、玄関ドアじゃなくて、掃き出し窓から敷地内通路を取る、とかでもいいの?

だめではないですが、念の為に申請先に確認は必要です。(私の経験としては、まず大丈夫ですが、稀に認められなかったケースもあります)

Q.ピロティ形状は認められる?

敷地内通路がピロティ内でしか計画できないんだけど、認められるかな?

基本認められません!
ただし、所定の条件を満たしたピロティに限り、認められます。

敷地内通路は、あくまでも屋外の通路です。したがって、原則として、ピロティでは認められません。ただし、『建築物の防火避難規定の解説』により、所定の条件を満たしたピロティであれば認められます。なお、根拠が法文ではないため、念の為に申請先に協議はしておいた方がいいでしょう。

下記すべての条件を満たしたピロティであれば、計画可能

  • 通路の有効幅員を1.5m以上確保すること
  • 通路部分は、屋内部分と耐火構造の壁・床・常時閉鎖式の防火設備で区画すること
  • 通路部分の壁・天井の下地・仕上げを不燃材料とすること
  • 通路部分は、外気に十分開放されていること

木造建築物の場合、ピロティ形状を敷地内通路とすることは難しいですね。なぜなら、下地を不燃材料にすることが出来ないので!

また、ピロティ内に自転車置場を設ける場合の開放性の取り扱いについてアフターフォローに解説があります。自転車置場を設ける場合は、以下の内容を確認するようにしてください。(簡単にいうと、自転車置場は1段まではOKですが、2段までは開放性なしと見做される可能性がありますので、ご注意ください)

『建築物の防火避難規定の解説 アフターフォロー』より

Q.敷地内通路には庇がかかってもいいのか?

敷地内通路に庇がかかる。認められる?

敷地内通路に庇はNGです!
なぜなら、上空確保が原則だから!

敷地内通路を使う時は、非常時でしょう。そして、非常時ということは、火災や地震などの可能性もありますよね。つまり、庇が壊れて落ちてくる可能性があるということ。そんな危険な場所を敷地内通路とすることはできません。

Q.屋根(軒・庇)の先を主要な出入口とみなすことは可能か?

屋根から出た部分を、主要な出入り口として考えることは可能?

原則として、NGです…(ただ、厳しすぎる扱いなので、申請先によってはOKとしていることもあります)

こちらは、防火避難規定のアフターフォローにより、図解にて、ピロティを出た部分は主要な出入口として扱えない旨が示されています。

『建築物の防火避難規定の解説 アフターフォロー』より

しかし、軽微である場合などは申請先によってはOKとしていることもあります。(防火避難規定の解説は、法律ほどの拘束力はないので、認められることもあり得ます)

したがって、実際のプランを持参して協議をしてみることをお勧めします。

敷地内通路が2m、3mになることはある?

下記のいずれかに該当する場合、1.5mより厳しい敷地内通路が適用される

  • 『木造』または『敷地内の建築物の合計』で延べ面積が1000㎡を超える場合
  • 地方公共団体の条例によって強化される場合

今回の記事内で解説した敷地内通路は、原則として、『1.5m』です。しかし、場合によっては、これよりも厳しい敷地内通路の規定が適用されることもあります。

『木造』または『敷地内の建築物の合計』で延べ面積が1000㎡を超える場合

敷地内通路(3m)が必要になるのは下記の建築物(令128条の2)

  • 主要構造部の全部(又は一部)が木造の建築物で、延べ面積が1000㎡を超える場合
  • 同一敷地内に2以上の建築物がある場合、その合計の延べ面積が1000㎡を超える場合

こちらは、建築基準法の規定です。延べ面積1000㎡という大規模な建築物に限りますが、敷地内通路が3m必要になります。

ただ、敷地内通路が求められる部分が『建築物の周辺』だったり、少し違いがあります。

詳しくは、下記の記事でご確認ください。

地方公共団体の条例によって強化される場合

地方公共団体の条例によっては、1.5mを超える敷地内通路が求められる

敷地内通路は、条例の強化がされます。しかも、結構よくあります。これは、申請先によって異なるので都度確認するしかないのです。

敷地内通路の条例の強化は、特に特殊建築物を対象として行われることが多いです

例えば、東京都安全条例17条により、共同住宅の敷地内通路は、最大で6mまで強化されます。さらに、敷地内通路の長さの規定が定められていることも。

敷地内通路を確認する場合は、条例もセットで確認することをおすすめします!

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まとめ

  • 「3階建て」なら、ほぼ例外なく1.5m(緩和で90cm)が必要 戸建住宅・共同住宅を問わず、3階建て以上であれば避難規定の対象となります。配置計画の初期段階で必ず通路を確保しておきましょう。
  • 有効幅員」による有効寸法の不足に注意 図面上の壁芯から境界線までが1.5mあっても、そこに室外機や給湯器、門扉などが突出すると、有効幅員を満たせなくなります。設備配管や外構計画との整合性を必ず確認してください。
  • 自治体独自の「上乗せ条例」を必ず確認する 基準法では1.5mで済む場合でも、東京都安全条例などの地方公共団体の条例により、2mや3mの幅員を求められるケースが多々あります。必ず**「〇〇市 建築安全条例」**をセットで確認する習慣をつけましょう。

根拠法文

記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。

建築基準法施行令128条

根拠法文を確認する(クリックで展開)

敷地内には、第百二十三条第二項の屋外に設ける避難階段及び第百二十五条第一項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が一・五メートル(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満の建築物の敷地内にあつては、九十センチメートル)以上の通路を設けなければならない。

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この記事を書いた人

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。