単体規定

【非常用照明の緩和】わかりやすくまとめた【免除】

非常用照明の緩和免除を使いたい…。

具体的にどうすれば、緩和を使えるの?

こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。

✔️非常用照明の緩和は『建築物の部分』に適用可能

✔️非常用照明の緩和は6つあり、かなり使いやすい

非常用照明の緩和の使い易さについて語ります

非常用照明には、設置免除になる緩和がいくつか設けられていますが、

これがありがたい事に、数も多くかなり使いやすいです。

今回は一つ一つ丁寧に解説していきたいと思います。

twitter:sozooro

緩和内容を告示に振っていたり、少し複雑になっているので今回はわかりやすくまとめてみました。非常用照明の設置基準についても以下の記事で解説しているのでよかったら合わせてどうぞ。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

非常用照明の緩和や免除について

緩和の方法は、法文上全部で6つです。緩和規定はあくまで建築物の部分の適用となります。『建築物全体』で緩和はできませんので、ご注意ください。

〈非常用照明の緩和、免除〉

①施行令第126条の4本文但し書き 採光上外気に開放された廊下、階段その他の通路
②施行令第126条の4但し書き1号 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
③施行令第126条の4但し書き1号 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
④施行令第126条の4但し書き1号 学校等
⑤告示1411号第一号

令第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室及びこれ に類する建築物の部分(以下「居室等」という。)で、次の各号のいずれかに該当するものとする。

イ 避難階に存する居室等にあっては、当該居室等の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離が 30m以下であり、かつ、避難上支障がないもの

ロ 避難階の直下階又は直上階に存する居室等に あっては、当該居室等から避難階における屋外へ の出口又は令第 123 条第 2 項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口に至る歩行距離が20m以下であり、かつ、避難上支障がないもの

⑥告示1411号第二号 床面積が30m2以下の居室(ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた 2 室は、 1 室とみなす。)で、地上への出口を有するもの又は 当該居室から地上に通ずる建築物の部分が次のイ 又は口に該当するもの
イ 令第126条の5に規定する構造の非常用の照明 装置を設けた部分
ロ 採光上有効に外気に開放された部分

さて、ではそれぞれ詳細に内容を確認してみましょう。

採光上外気に開放された廊下、階段その他の通路

居室からの避難経路は原則、非常用照明が必要ですが、採光上外気に開放された廊下、階段その他の通路は除かれています。

採光上外気に開放されたってどういう事なの?
読んでそのまんま、採光の検討をすれば良いんです

具体的に言うと、

採光上外気に開放されたとは、床面で採光補正係数の検討をして、0未満にならない事です。(マイナスが駄目って事)

詳しくは防火避難規定の解説に記載がありますので、そちらで確認ください。

一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸

一戸建て住宅、長屋、共同住宅の住戸は緩和されています。

だから、みなさんの家の部屋には絶対に非常用照明は付いていないはずです。

なぜなら、非常時に停電しても、自分の家の中だったら、避難経路も把握してるし、安全に避難ができそうですもんね。

だから、不要なんです。あくまで、住戸のみで、共同住宅の廊下や階段は必要なのでご注意ください。

病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室

先程の緩和によく似ていますが、こちらも同様の理由で緩和の対象です。

あくまで、病室や、宿泊室のみで、廊下は除かれないので注意ください。

学校等

学校等は緩和の対象です。さて、学校等と纏められていますが、具体的にはどんな用途でしょうか?

それは、建築基準法施行令第126条第1項第二号に記載があります。

施行令第126条の2第1項第二号

学校(幼保連携型認定こども園を除く。)体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場

こちらの用途の建築物の部分は、そもそも非常用照明はいらないみたいです。

ここで、すごい大事な事を言わせて下さい。

この学校等の中に、幼稚園は含まれます。しかし、保育園は含まれません。

えええええええ???って声が聞こえてきそうですね。

要するに、

幼稚園→非常用照明不要
保育園→非常用照明必要

となるわけです。似ているようで、このあたりの建築基準法の取り扱いは違います。

意味不明!なんで!?
そもそも、幼稚園は『学校教育法』のもので、

保育園は『児童福祉法』のもの。

そこで、グループ分けされてるんだよ。

幼稚園は、実は小学校や中学校の仲間である『学校教育法』による用途だから、『学校』に含まれるので、非常用照明は不要です。

一方で、保育園『児童福祉法』、だから学校の仲間には入らないので、非常用照明必要なんです。

ほんとに?と思う方は、ちゃんとした文章でわかりやすくこのあたりの話が下記資料に書いてあるので確認してください。

子ども・子育て支援法等の施行に伴う幼保連携型認定こども園の建築基準法上の 取扱い等について(技術的助言)

告示1411号第一号

ここから少し難しくなります。

すぐ外に出れるなら非常用照明はいらないという告示です。

適用させる条件は2つです。

告示1411号を適用させる条件

以下2つ全てに該当させる事

①施行令第116条の2第1項第一号の窓がある事

②避難階とその直下階、直上階ですぐ避難できる事

①施行令第116条の2第1項第一号の窓がある事

これは、採光が確保されている居室という事です。

補正係数は床面積×1/20です。

採光確保できていない室は適用できません。以下の記事で採光計算について解説しているので確認してみてください。

②避難階とその直下階、直上階ですぐ避難できる事

避難階と避難階以外(直上階、直下階のみ)に分かれています。

避難階 居室等の各部分から歩行距離が 30m以下であり、かつ、避難上支障がないもの
避難階以外(ただし、避難階の直上階、直下階のみ) 当該居室等から避難階における屋外への出口又は令第 123 条第 2 項に規定する屋外に設 ける避難階段に通ずる出入口6に至る歩行距離が20m以下であり、かつ、避難上支障がないもの
この、居室等の各部分ってどういう事??
各部分となっているので、部屋のどこにいても、20mや30mで避難できるって事!

つまり、こういう事。

居室の端っこから距離のカウントをしてください。これが、居室の各部分からという事になります。そして、避難経路部分に注目してください、非常用照明が必要となっていますよね。このように、原作『居室』に適用できる告示なので、避難経路部分には必要になります。

告示1411号第二号

最近、法改正で追加になった項目です。

簡単に言うと、居室30㎡以下避難経路に非常用照明がある場合(または外気に開放されている場合)は居室に非常用照明は不要です。

図解すると、以下のようになります。

小さな部屋であれば、これで簡単に免除する事ができそうですよね。かなり使いやすいと思います。

まとめ:非常用照明の緩和はかなり使いやすい!

いかがでしたか?

かなり緩和、使いやすくないですか?

まとめると、緩和できる項目は6つ

①採光上外気に開放された廊下、階段その他の通路
②一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
③病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
④学校等

⑤以下2点を満たす居室

1、施行令第116条の2第1項第一号の窓がある事
2、避難階とその直下階、直上階ですぐ避難できる事

⑥避難経路に非常用照明があり、かつ30㎡以下の居室部分

ぜひ活用してください!

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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