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重要法文と注意点まとめ【一戸建て住宅(2階建以下)編】

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建築基準法の内容、及びその関係法令は全て適合させなくてはならない

ということは当たり前の事ですよね。

 

私も、建築基準法のチェックをしていますが、全ての法適合を全力で確認している訳ではありません。

メリハリを付けて、法適合の確認をしています。

 

それはなぜかというと、建築基準法には

①法適合していないと、プランを大きく変えなければならない法文

②後から法適合していない事に気がついても、そこまでプランに影響を与えない法文

があると思っているからです。

 

だから、私はいつも①法文は絶対に見落とさないようにしっかり確認するようにしています。

 

今回は、一戸建て住宅の2階建以下という条件に絞って、

これだけは絶対に見落とさないでほしい法文をまとめてみました。

いつも確認申請をされている方にとっては復習のようになるかとは思いますが、

実際に見落としやすいポイントも含めてご説明しているので是非最後まで読んでみてください。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

接道義務(法第43条)

常識かとは思いますが、敷地は4m以上の建築基準法の道路に2m以上接道していなければなりません。

ここでの道路とは、建築基準法第42条第1項、第2項の条文に該当するものを指します。

接道がとれていない敷地はそもそも建築が難しいです。

接道については設計者も注意して調査をしているかと思いますが、以下のようなケースでうっかり見落とす事があります。

①敷地が不整形で、最短距離で測ると有効接道2m取れていなかった
②役所で建築課では無く道路課で道路かどうか確認をとったが、実際は基準法の道路ではなかった
③開発による道路で、開発の検査済書だけで公告を待たず接道してしまった
④位置指定道路で、関係宅地ではなかったので接道してはいけなかった

詳しくは別の記事でまとめているので、確認してみてください。

 

道路斜線、北側斜線、高度斜線(法第56条、法第58条)

建築物の高さに関する制限です。(隣地斜線は2階建てだと関係無いと思うので省略します。)

こちらも建築関係者以外でも知っている程、有名な法規制です。

もし、こちらを見落としてしまうと建物の屋根形状変更、配置の移動、地盤レベルの変更させる必要が出てきます。

 

その中でも、特に要注意は高度斜線です。

高度斜線は都市計画において定められた内容に適合させるものと記載があります。

この都市計画で定められた高度斜線の内容は必ず確認する必要があります。

関東で要注意は横浜市で、高度斜線は道路の中心からかかります。(道路の反対側ではありません)

東京都では、途中で斜線の勾配が変わったりします。(1.25勾配から0.6勾配へ)

他には、天空率が高度斜線は使えなかったりします。

あれ、そうだったっけ?と思った方はもう一度よく確認してみてください。

 

容積率、建ぺい率(法第53条、法第54条)

こちらもかなり有名な規制なので、ご存知かと思います。

建物の敷地に対する大きさを規制する内容になります。

 

敷地面積に対する建築面積の割合を建ぺい率、床面積の割合を容積率としています。

建築面積は、建物の形体で面積を算出します。

床面積は、屋内的用途の有無で面積を算出します。

算定方法もかなり違いがあるので混在しないように注意する必要があります。

 

見落としてしまうと、建物の形状を変更させる必要が出てきます。

 

路地状敷地の制限(法43条の2)

法40条とは、地方公共団体の条例による制限の附加です。

みなさん一度は意識した事があるのでは無いでしょうか?

東京都内だったら安全条例、横浜市だったら横浜市条例など、都道府県が定めている条例です。

 

この地方公共団体の条例の中でも、路地状敷地の制限というのは非常に重要です。

 

ちなみに、建築基準法上は路地状敷地の制限はありません。

路地状敷地の制限が出てくるとしたら、この法40条の条例からのみなのです。

よって、建築地によっては、路地状敷地の制限がない場合もあります。(つまり、条例で定めていないって事)

 

ここで、路地状敷地の最大の落とし穴があるのですが、

条例で定めているので路地状敷地に定義も行政庁によっては変わってくるという事です。

 

さて、路地状敷地の定義って考えた事ありますか?

旗みたいな形になってる敷地?4mの接道がない敷地?

実は、

道路に立った時に敷地全体が見渡せるかどうかで判断します。

見渡せなかったら路地状敷地というのは一番安全な考え方です。

上記の考え方をする行政が多いですし、一番厳しい判断なのでこの考え方をしていれば間違いありません。

もし怪しい時は必ず行政に確認してください。

この路地状敷地も接道規定と一緒でそもそも建物を建てられない可能性があります。

絶対に見落としてはいけません。

 

崖条例(法40条)

路地状敷地に引き続き、こちらの条例で定められているものです。

 

がけが発生し得る土地に対してがけに対して建物を守るための条例です。

こちらの条例によって、どれくらいの高低差から規制をしているのか異なるので必ず確認してください。

大体どこも高低差2mを超えてから条例が適用される事が多いです。

 

まとめ

いかがでしょうか。

一度確認申請提出経験のある方であれば目にした事はあると思います。

 

他の法文が大事では無いという訳ではありません。

全て法適合させるというのは当たり前の事なのですが、

今回ご紹介した内容は間違いなく後で気が付いたら取り返しがつかない内容です。

絶対に見落とさないように、細心の注意を払う必要があります。

正直、シックハウス検討とかって後から気が付いてもなんとかなると思うんですよね(笑)

 

何が言いたいかっていると、すべての法適合を全力で確認するよりかは要点を絞って力を入れたり抜いたりしてもいいと思っています。

全てを完璧にするよりも、そちらの方が最終的には簡単に確認申請を通す事に繋がると思います。

最後までありがとうございました。

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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