地方公共団体の条例

県条例、市条例確認方法!これだったら見落とさない

 

ぶっちゃけましょう。

県条例、市条例の構成は、みんな一緒です。

 

「え??そんなことなく無い?47都道府県全部同じ構成なんてあり得るの?」

と思った方もいるかもしれません。

確かに、47都道府県、それぞれ独自の条文があり、各地域の条文は本当に困ってしまうくらいバラバラなんです。

 

でも、構成は一緒です。

これまで、いくつもの県条例、市条例を確認してきましたが、一緒です。

一緒という事は、条文の確認方法や、手順も全国統一できます。

私はここ数年でこの構成に気がつき、確認の手順を覚えたところ、短時間で確認でき、条文の見落としなどはした事がありません。

 

しかも、難しくありません。

条文の大枠の構成は3つに分ける事ができ、その大枠毎に内容を確認したり、建築物の用途や規模によっては内容をすっ飛ばしたりできるのです。

今回はその手順方法をマスターしていただき、県条例、市条例を完全攻略しましょう!

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

大枠の構成は、たったの3つ

さて、では早速その3つの構成を確認してしまいましょう。

①全ての規模、用途にかかる条文

②条例で定義されている特殊建築物の全てにかかる条文

③条例で定義されている特殊建築物の一部にかかる条文

思ったより、当たり前の内容でびっくりした方も多いのでは無いでしょうか?

でも、これが全てです。

簡単に各項目にどんな内容の記載があるのかをご紹介します。

 

全ての規模、用途にかかる条文

代表的な条文
 ・崖条例
 ・路地状敷地の制限(路地状敷地の記事はこちら)
 ・長屋の制限(地方公共団体によっては特殊建築物に記載されている可能性有)

全ての建築物にかかる条文です。

一戸建て住宅や、事務所、共同住宅、工場、倉庫、などなど、全てかかります。

よって、こちらの大枠の条文は省略せず、全て確認してください。

 

長屋の制限がここで出て来る事が多いです。

地方公共団体によっては、長屋は次にご紹介する特殊建築物扱いの場合もあるので、注意してください。

 

条例で定義されている特殊建築物の全てにかかる条文

代表的な条文
 ・特殊建築物の定義
 ・特殊建築物の路地状制限
 ・特殊建築物の接道寸法の制限

まず、その建築物は特殊建築物なのかどうか?という定義付けされている条文がこの中にあるはずです。

ここはどんな用途でも、条例の特殊建築物なら確認をしてください。

例えば、建築基準法上、工場は特殊建築物扱いにならないですが、特定行政庁の定義で特殊建築物になったりします。

そうすると、条例で特殊建築物の路地状敷地の制限がかかり、建物が建てられない事があります。

これは、申請してから気がついては場合によってはもう計画できなくなるかもしれないですよね?

 

そして、もし特殊建築物の定義に当てはまっていた場合はこの大枠の条文を全て確認してください。

実際、特殊建築物の条文を確認していただける方は多いのですが、次にご紹介する“条例で定義されている建築部の一部にかかる条文”しか確認していない方が多く、見落としがちです。

意外と、重要な条文がこの中に隠れている事が多いです。

 

条例で定義されている建築物の一部にかかる条文

代表的な条文
 ・共同住宅の主要な出入り口までの敷地内通路の制限
 ・学校の廊下の幅の制限
 ・自動車車庫の他用途との区画の制限

先ほどの大枠との違いは特殊建築物の“全部”にかかるのか“一部”にかかるのか、です。

こちらの大枠は特殊建築物の中でも一部の特定の用途にかかります。

例にあげましたが、共同住宅や自動車車庫は大体どこもここの大枠で内容を強化しています。

もし、今回計画されている用途が該当するのであれば、確認をし、しないのであればすっ飛ばしても大丈夫です。

 

実際の確認手順はこのようになる

この流れに沿って、行なってください。

 

ポイントとしては、必ず特殊建築物なのかどうかを確認する、という事です。

建築基準法が特殊建築物では無くても、条例で特殊建築部扱いになる事もあります。

また、逆のパターンもあります。

建築基準法では特殊建築物でも、条例では特殊建築物では無かったりします。

ここの確認を怠ると、後々大変な事になるかもしれないので確認をお願いします。

 

接道の条例だけは注意を

建築物の敷地及び建築物と道路との関係(つまり、接道の条例)などは節や章を分けている条例が多いですが、これは理由があります。(次にご紹介する大阪の条文がわかりやすいです)

県条例、市条例は基本的には建築基準法第40条から決まっているのですが、接道関係は建築基準法第43条3項で決まっていて法文が違うからです。

目次を見て建築物の敷地及び建築物と道路との関係があった場合は、特殊建築物でなくても、①全ての規模用途にかかる条文 として確認してください。

それは、各行政庁によってはさらっと特殊建築物以外の接道規定を強化している可能性があるので。

このあたりは目次を眺めればわかります。

 

最後に本当に構成は3つに分かれるのか確認する

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

条文の構成や確認方法はご理解いただけましたか?

 

もしかしたらまだ本当に3つの構成になっているのか?と疑っている方もいるかもしれない、と思ったので実際に都道府県の条文で確認をしてみましょう。

「3つになって無いじゃん!」

と思った方もいると思います。確かにその通りです。

しかし、色が付いていないほかの内容は基本的に読み飛ばしてもそこまで支障はありません。

道路の定義だったり、罰則の話を条例の中に含めていたりするので、そちらは必要がありそうだったら確認すればokです。(地下道や昇降機の基準も稀にありますが、必要がありそうだったら確認する程度でokです。)

 

もちろん、本当だったら条例の確認は最初から最後まで全て読んで、確認するのが一番だとは思います。

でも、それってすごく時間がかかる事です。

私自身も最初は全ての条例を確認しながら法適合を確認していましたが、本当に時間がかかります。

法適合確認の時間よりも、もっと他の事に時間を使いたいですよね?

だったら、今回ご紹介した手順で確認をしてみてください。

時間短縮になるはずですし、読み飛ばしも無くなります!

 

大事な事は条例の構成の大枠を捉えること、です!

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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