地区計画の基準、土地区画整理の許可、開発行為の検査済証は、建築基準関係規定なのかな?許可を取得しないと、確認済証の取得は出来ないのかな?
こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。
結論からまとめると、
✔️建築基準関係規定とは、適合しているか確認申請でチェックされる法令のこと
✔️地区計画の基準、土地区画整理の許可、開発行為の検査済証は、場合によっては建築基準関係規定となる。よって、確認申請に許可の添付が必須になる
よって、建築基準関係規定を事前に把握し、適切に手続きをしないとスムーズに確認済証の取得が出来ません。
今回は、建築基準関係規定はどの規制が該当するのかわかりやすく解説します!
確認申請については、当サイトでまとめているので合わせて確認ください。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
建築基準関係規定とは?
建築基準関係規定とは、適合しているか確認申請でチェックされる法令のこと
確認申請は、建築基準法に定められている手続きです。計画される建築物が、建築基準法に適合しているかどうかを、建築主事等が確認を行います。
しかし、建築基準関係規定に該当した場合、 建築基準法でなくとも、確認申請のチェック対象になります。その根拠は、建築基準法第6条第1項本文に記載があります。
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
要するに、確認申請を提出し、確認済証の交付を受ける為には、建築基準法だけでなく、建築基準関係規定も適合させなくてはならないということです。うっかり見落としてしまうことが多いので、注意が必要です。
ここを読めばわかるんじゃないの?
ただし、令第9条以外にも以下のようなケースで建築基準関係法令に指定されていたりします…
(第1項〜3項省略)
書かれている内容は一般的なものですが、書いてある場所が問題です。こちら、建築基準法ではなく、高齢者、障害等の移動等の円滑化に促進に関する法律(バリアフリー法)なのです。
そこで、そんなトラップに引っかからないように、当サイトで具体的な建築基準関係規定をまとめました。
消防法 | 第9条 第9条の2 第15条 第17条 |
火の使用に関する規制の市町村条例への委任 住宅用防災機器の設置 常設映画館等の映写室の規格 消防用設備等の設置及び維持 |
屋外広告物法 | 第3条から第5条 | 広告物等の制限 |
港湾法 | 第40条第1項 | 分区内の規制 |
高圧ガス保安法 | 第24条 | 家庭用設備の設置等 |
ガス事業法 | 第162条 | 基準適合義務 |
駐車場法 | 第20条 | 建築物の新築又は増築の場合の駐車施設の附置 |
水道法 | 第16条 | 給水装置の構造及び材質 |
下水道法 | 第10条第1項、第3項 第30条第1項 |
排水設備の設置等 都市下水路に接続する特定排水施設の構造 |
宅地造成等規制法 | 第8条第1項 | 宅地造成に関する工事の許可 |
流通業務市街地の整備に関する法律 | 第5条第1項 | 流通業務地区内の規制 |
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律 | 第38条の2 | 基準適合義務 |
都市計画法 | 第29条第1項、第2項 第35条の2第1項 第41条第2項(第35条の2第4項) 第42条(第53条第2項) 第43条第1項 第53条第1項 |
開発行為の許可 変更の許可等 建築物の建ぺい率等の指定 開発許可を受けた土地における建築等の制限 開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限 都市計画施設等内の建築許可 |
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法 | 第5条第1項~第3項(同条第5項で準用) | 航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区内における建築の制限等 |
自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律 | 第5条第4項 | 自転車等の駐車対策の総合的推進 |
浄化槽法 | 第3条の2第1項 | 合併処理浄化槽設置の義務 |
特定都市河川浸水被害対策法 | 第8条 | 排水設備の技術上の基準に関する特例 |
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 | 第14条第1項~第3項 | 特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等 |
都市緑地法 | 第35条 第36条 第39条第1項 |
緑地地域における緑化率 一の敷地とみなすことによる緑化率規制の特例 地区計画等の区域内における緑化率規制 |
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律 | 第11条 | 特定建築物の建築主の基準適合義務 |
表の下から3つのグレーに色付けされている部分が、建築基準法施行令第9条に記載がなく、それぞれの法文に『建築基準関係規定とみなす』と書いてある法令です。以下の法令を確認いただければ、そちらの表記があると思いますので確認してみてください。
- 高齢者、障害等の移動等の円滑化に促進に関する法律(第14条第4項)
- 都市緑地法(第41条)
- 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(第11条第2項)
建築基準関係規定になってしまう可能性がある許可等
建築基準関係規定の厄介なことは、法令が読みにくいだけではありません。建築基準関係規定に該当するかどうか紛らわしい手続きが複数あることです。
具体的には、地区計画の基準への適合、土地区画整理の許可、開発行為の検査済証は非常に紛らわしいです。そこで、今回は根拠の法令にも触れつつ、関係規定に該当するかどうかを解説していきます!
地区計画
地区計画は『条例化』されているかどうかで決まる。
- 条例化されている→建築基準法第68条の2→建築基準関係規定になる
- 条例化されていない→都市計画法第58条の2→建築基準関係規定ではない
地区計画は、市町村が定めるルールです。ルールの中でも『条例化されているもの』と『条例化されていないもの』に分かれます。条例化されている場合、『都市計画法』ではありません。『建築基準法』です。建築基準法は当たり前ですが、建築基準関係規定です。
よって、条例化された地区計画は、建築基準関係規定です。
土地区画整理
土地区画整理の『施行中か、施行予定か』で決まる。
- 土地区画整理の施行中→土地区画整理法76条許可が必要→建築基準関係規定ではない
- 土地区画整理の施行予定→都市計画法第53条許可が必要→建築基準関係規になる
土地区画整理は、『施行中』か『施行予定』で、取得する許可が異なります。
『施行予定』だった場合、都市計画法第53条許可の取得が必要になります。これは施行令第9条より、建築基準関係規定です。
よって、土地区画整理の許可は、施行予定の場合、建築基準関係規定です。
開発行為の検査済証
『接道の種別』によって決まる。
- 接道が開発による法第42条第1項第二号道路→開発行為の検査済証(公告まで)必要
- 接道が上記以外→開発行為の検査済証不要※
※…ただし、一般的には確認申請の段階では不要ですが、完了検査の段階で求められる場合が多いです。
こちらの内容は、『建築基準関係規定』に該当するかではなく、『接道が取れているかどうか』に関わります。
以下の記事で解説していますが、そもそも開発の検査済証(厳密には公告まで)出ていないと、建築基準法の道路として扱えません。
もちろん、接道が無い敷地に確認済証は下りないので、接道の為に『開発行為検査済証』が必要です。
都市計画法第29条 | 開発行為の許可 | 建築基準関係規定に該当する |
都市計画法第36条 | 工事完了の検査 | 建築基準関係規定に該当しない |
都市計画法第43条 | 開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限 | 建築基準関係規定に該当しない |