建築基準法

低層住居専用区域に付属車庫を計画する時は『600㎡』がポイント

中途半端なんだけど、この『600㎡』っていう数字が大事。

付属車庫を計画するなら覚えておくべき!

第一種低層住居専用地域や、第二種低層住居専用地域には

単独の車庫は建築基準法上、建てることができません。

これは、建築基準法第48条の用途地域で決まっている法規制です。

 

しかし、住宅のなどの付属車庫としてなら計画可能です。

ただし、付属建物としてどの程度までならokなのか、というのも決まっています。

 

そのポイントになる数値は、タイトルにある通り『600㎡』である事を知っていますか?

600㎡?

そんな中途半端な数値で本当にあっているの?

あっていますよ!

これは、建築基準法第130条の5に書いてある内容ですから!

少し疑いたくなりますが、600㎡の話はこの第130条の5に記載があります。

第130条の5は『低層住居専用区域に計画してはいけない付属建築物』を定めた条文になります。

ただし、この第130条の5はかなり読みにくいので、今回が内容をまとめてみました。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

低層住居専用区域に計画してはいけない付属建築物の要点をまとめた

さて、早速ですが。

この話では、めちゃくちゃわかりやすくまとまっている書籍があります。

そう、『確認申請memo』です。

建築やっている人なら多くの方がお持ちの図書ですね。

この内容を元に、さらにわかりやすくして説明したいと思います。

 

低層住居区域に建てる自動車車庫の用途規制

『確認申請memo』より

独立車庫 建築物は禁止(工作物の車庫であれば50㎡まで可能)
付属車庫 下記の①〜④のいずれかで、2階以上の部分にない場合

①S>600㎡ かつ B>50㎡のとき

A +B≦600㎡

②S>600㎡ かつ B≦50㎡

A≦600㎡

③S≦600㎡ かつ B>50㎡

A +B≦S

④S≦600㎡ かつ B≦50㎡

A≦S

S:建築物全体の床面積(車庫部分を除く)

A:車庫(建築物)の床面積の合計

B:車庫(工作物)の築造面積の合計

なんかすっごいぐちゃぐちゃしてない?

わかりやすいって言わなかった?

これに、一手間入れると、劇的にわかりやすくなります

そうなんです、確認申請memoのまとめ方は要点がまとまっていて、非常にわかりやすいのですが、

ある内容が邪魔で非常にわかりにくくなっています。

 

それは、車庫(工作物)Bの存在です。

工作物の車庫を作るケースってそんなに無いですよね?

なのに、この内容、この車庫(工作物)の主張が激し過ぎるんです。

 

では、車庫(工作物)を消してしまいましょう。

そうなると、だいぶスッキリします。こんな感じに。

独立車庫 禁止
付属車庫 下記の①〜②のいずれかで、2階以上の部分にない場合

①S>600㎡

A ≦600㎡

②S≦600

A ≦S

S:建築物全体の床面積(車庫部分を除く)

A:車庫(建築物)の床面積の合計

これだったら、かなりわかりやすいですね。

冒頭にお話した通り、『600㎡』がキーワードで、面積が決めっているというのが明確にわかりやすくなりました。

 

つまり、

①建築物全体の床面積(車庫部分を除く)が600㎡を超えたら、車庫の面積は600㎡以下に

(ex:住宅部分の床面積が700㎡だったら、車庫は600㎡以下まで)

②建築物全体の床面積(車庫部分を除く)が600㎡以下なら、車庫の面積は建築物全体の床面積(車庫部分を除く)以下に

(ex:住宅部分の床面積が500㎡だったら、車庫は500㎡まで)

となるわけです。

 

法文でも確認してみる

 

建築基準法施行令第130条の5 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内に建築してはならない付属建築物
法別表第2(い)項第十号及び(ろ)項第三号(法第87条第2項又は第3項において法第48条第1項及び第2項の規定を準用する場合を含む。)の規定により政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。

 自動車車庫で当該自動車車庫の床面積の合計に同一敷地内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積(当該築造面積が50m2以下である場合には、その値を減じた値)を加えた値が600m2同一敷地内にある建築物自動車車庫の用途に供する部分を除く。の延べ面積の合計が600m2以下の場合においては、当該延べ面積の合計)を超えるもの(次号に掲げるものを除く。

 公告対象区域内の建築物に附属する自動車車庫で次のイ又はロのいずれかに該当するもの

 イ 自動車車庫の床面積の合計に同一敷地内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積を加えた値が2,000m2を超えるもの

 ロ 自動車車庫の床面積の合計に同一公告対象区域内にある建築物に附属する他の自動車車庫の床面積の合計及び当該公告対象区域内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積を加えた値が、当該公告対象区域内の敷地ごとに前号の規定により算定される自動車車庫の床面積の合計の上限の値を合算した値を超えるもの

 自動車車庫で2階以上の部分にあるもの

 床面積の合計が15m2を超える畜舎

 法別表第2(と)項第四号に掲げるもの

 

 

法文だと少しわかりづらいですが、『600㎡』ありますよね?

 

まとめ:低層住居区域に建てる建物は過半以下かつ600㎡以下

さて、結論、低層住居区域に建てる事ができるのは以下の2点のいずれかに該当、かつ1階部分に車庫があるという条件です。

①建築物全体の床面積(車庫部分を除く)が600㎡を超えたら、車庫の面積は600㎡以下に

②建築物全体の床面積(車庫部分を除く)が600㎡以下なら、車庫の面積は建築物全体の床面積(車庫部分を除く)以下に

この内容をまとめると、

1階部分に車庫を設け、かつ 車庫の面積が付属用途の過半以下かつ600㎡以下

となります。

今回の説明でもありましたが、車庫(工作物)を設けた場合は話がかなり複雑になりますので

もしそういったケースがあれば注意が必要です。

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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