必要になるとしたら、何㎝必要なの?
今回の記事ではこんな疑問に法的根拠を元に答えます。
ざっくりまとめると、
共同住宅や寄宿舎は避難経路が必要です。
一戸建て住宅や長屋であっても、階数が3以上の場合は避難経路が必要になります。
規模によって1.5m又は90㎝以上必要です。
避難経路の幅は、建物の主要な出入り口から道路まで、
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
避難経路が必要になる建築物とは?
建築基準法上、避難経路が必要になる建築物は以下になります。
避難経路が必要になる建築物
- 別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物(共同住宅・寄宿舎)
- 階数が3以上の建築物
- 採光無窓・排煙無窓(令116条の2の窓を有しない)の建築物
- 延べ面積が1000㎡を超える建築物
一言で住宅と言っても、大きく4つの区分に分かれます。それは、①一戸建て住宅、②長屋、③共同住宅、④寄宿舎です。このどれに該当するかによって、避難経路が必要になるかが大きく関わっていきます。まずはこちらを確認するようにしましょう。
用途ごとに分類すると、以下のようになります。
用途 | 避難経路が必要になる条件 |
一戸建て住宅・長屋 |
|
共同住宅・寄宿舎 | 全て |
このように、共同住宅や寄宿舎であれば建築基準法によりどんな規模でも避難経路の確保が必要ですが、一戸建て住宅や長屋であれば2階建てなどの場合は必要にはならないということです。
避難経路の幅は?
避難経路の寸法は、『主要な出入り口』から『道又は公園、広場その他の空地』まで以下の寸法が必要になります。
階数及び面積 | 通路の幅員 |
階数が3以下で延べ面積が200㎡未満 | 90㎝以上 |
上記以外 | 1.5m以上 |
階数及び面積によって、必要になる通路の幅員は異なります。
学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p180』より引用 |
建築基準法の適用を受けない場合の避難経路の寸法は?
いくら建築基準法の適用を受けない建築物であっても、避難経路を一切確保しなくても良いという風には考えない方がいいでしょう。火災などはどの建築物でいつ発生するかわからないからです。
一般的には、人が通れる寸法は75㎝程度と言われていますので、それくらいの寸法が確保されていれば安心出来そうです。
法文で確認する【建築基準法施行令128条】
住宅の居室の採光計算については『建築基準法施行令128条』に記載されています。
建築基準法施行令128条
敷地内には、第123条第2項の屋外に設ける避難階段及び第125条第1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の敷地内にあっては、90㎝)以上の通路を設けなければならない。
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まとめ
✔️住宅で避難経路の確保が必要になる建築物は以下の通り
用途 | 避難経路が必要になる条件 |
一戸建て住宅・長屋 |
|
共同住宅・寄宿舎 | 全て |
✔️廊避難経路は『主要な出入り口』から『道又は公園、広場その他の空地』まで以下の寸法が必要
階数及び面積 | 通路の幅員 |
階数が3以下で延べ面積が200㎡未満 | 90㎝以上 |
上記以外 | 1.5m以上 |