単体規定

【2以上の直通階段】必要になるか緩和できるかは『階数』で決まる

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階段を2つ設置しなきゃいけない建築物ってどんな建物?

緩和、免除をするにはどうしたら良いの?

こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。

内容を簡潔にまとめると、

✔︎2以上の直通階段は『5階以下か、6階以上か』で大きな差があります。

✔︎6階以上の建築物は、原則2以上の直通階段が必要。ただし、緩和が可能。

✔︎5階以下の建築物は、一定の規模の建築物は直通階段が必要。この場合、原則緩和は出来ません。

2以上の直通階段は、とにかく5階以下か?6階以上か?が重要です。

なぜなら、必要になる建築物も、緩和条件も、この階数を境に様変わりするからです

このポイントだけ押さえて読んでもらえれば、2以上の直通階段の規定は楽勝です!

twitter:sozooro

では、早速内容を確認していきましょう!

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

2以上の直通階段が必要な建築物について

5階以下、6階以上という階数に着目して考える

用途、規模 5階以下 6階以上
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 客室、集会室のある階に必要 居室があれば必要
物品販売業を営む店舗 売り場のある階に必要(床面積の合計1,500㎡を超えるもの) 居室があれば必要
キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー等 客室のある階に必要 居室があれば必要
病院、診察所、

児童福祉施設等

主要構造部準耐火構造or不燃材料 主たる居室面積>100㎡の階 居室があれば必要
その他 主たる居室面積>50㎡の階 居室があれば必要
ホテル、旅館、共同住宅、下宿、寄宿舎 主要構造部準耐火構造or不燃材料 宿泊室の面積、共同住宅の居室面積、寄宿舎の寝室面積>200㎡の階 居室があれば必要
その他 宿泊室の面積、共同住宅の居室面積、寄宿舎の寝室面積>100㎡の階 居室があれば必要
その他の居室 主要構造部準耐火構造or不燃材料 居室面積>200㎡(避難階の直上階のみ400㎡) 居室があれば必要
その他 居室面積>100㎡(避難階の直上階のみ200㎡) 居室があれば必要
※赤文字のみ、緩和規定有り
本当だ!5階以上と6階以下で必要になる建築物が違う!
そうなんです!

そして、6階以上の建築物は居室があれば原則階段は2つ必要なんです!

法文でも確認する

 

建築基準法第121条 2以上の直通階段を設ける場合

建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。

 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの

 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1,500m2を超えるものに限る。第122条第2項、第124条第1項及び第125条第3項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの

 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(5階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が100m2を超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第123条第2項又は第3項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である5階以下の階でその階の居室の床面積の合計が100m2を超えないものを除く。

 イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー

 ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設

 ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。

 ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設

 ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗

 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ50m2を超えるもの

 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100m2を超えるもの

 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの

 イ 6階以上の階でその階に居室を有するもの第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が100m2を超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第123条第2項又は第3項の規定に適合するものが設けられているものを除く。

 ロ 5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては200m2を、その他の階にあつては100m2を超えるもの

 

 

2以上の直通階段の緩和について

2以上の直通階段は、5階以下で必要になった場合原則緩和できない(えっちなお店を除く)

続けて、『緩和』についてです。

先ほどの表を確認していただきたいのですが、赤文字の要件で2以上の直通階段が必要になった場合しか、緩和できません。

赤文字以外で必要になったら絶対に必要です。つまり緩和ができません。

緩和できるのってほとんど6階以上の建築物なのね!
そうなんです!5階以下で2以上の直通階段が必要になった場合、緩和が出来ないのです…

直通階段を緩和する為の要件について

そして、緩和する条件としては、以下のようになります。

2以上の直通階段を緩和する3つの条件

以下3つ全て該当させる事

①各階の居室の床面積が200㎡以下(主要構造部準耐火構造or不燃材料の場合)

②避難上有効なバルコニーを設ける

③屋外避難階段、特別避難階段 いずれかを設ける

ここで、やってしまいがちなミスは『屋外避難階段、特別避難階段』の部分です。2つのポイントがあります。

1点目。同じ避難階段でも、屋内避難階段では駄目です。屋外避難階段か特別避難階段にする必要があります。

2点目。建築基準法施行令第122条で緩和できる条件でも、2以上の直通階段の緩和を受けるなら、絶対避難階段にしてください。良いとこ取りは出来ないって事!

まとめ:2以上の直通階段は『5階以下』と『6階以上』で大きな差がある

2以上の階段が必要な建築物

6階以上はどんな建築物でも階段が2つ必要だけど、5階以下は用途や規模によっては階段が2つ必要

2以上の階段の緩和

6階以上は必要になっても緩和可能な場合があるけど、

5階以下は必要になったら何がなんでも絶対に階段は2つ必要(エッチな店を除く)

このように、階数で整理して考えるとぐっとわかりやすくなります!最後までありがとうございました!

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ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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