建ぺい率容積率

一戸建て住宅に備蓄倉庫を設ける事で容積緩和可能か?

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備蓄倉庫は全体の床面積の1/50まで容積対象の延べ面積から除く事ができます。そこで、一戸建て住宅の一部を備蓄倉庫として扱い、容積対象から除いて法適合させるという事も法文上可能ではありますが、条件が出てきます。

今回はその条件のご説明と、注意事項を解説していこうと思います。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

備蓄倉庫の要件としては、技術的助言が出ている

2 (1)防災用の備蓄倉庫の用途に供する部分(以下「備蓄倉庫部分」という。)

「専ら防災のために設ける備蓄倉庫」とは、非常用食糧、応急救助物資等を備蓄 するための防災専用の倉庫であり、利用者に見えやすい位置に当該倉庫である旨の 表示されているものをいう。

—(抜粋)—

3 適用範囲について 本規定を適用させる部分については、壁で囲われた専用室であることを原則とする。ただし、蓄電池設置部分、自家発電設備設置部分及び貯水槽設置部分にあっては、壁 で囲われた専用室でなくとも、当該設備を設けるために必要な範囲において、他の部 分と明確に区画されていれば、当該部分の床面積を不算入として差し支えない。

 

建築基準法施行令の一部を改正する政令等の施行について  より

https://www.mlit.go.jp/common/000228859.pdf

まとめますと、

備蓄倉庫に該当させる条件
◆利用者の見えやすい位置に“備蓄倉庫”である旨を表記を行う

◆備蓄倉庫部分は壁や建具で囲われた専用室とする

何が言いたいかというと一戸建て住宅に適用できないなんて記載が無いんですよね。技術的助言より、一戸建て住宅の一部のウォークインクローゼットや押入れを備蓄倉庫と表記をすれば備蓄倉庫としての緩和を受ける事ができるという事になります。

本当に備蓄倉庫なの?という疑義が出るので結局申請先次第

もう一度聞きますが、本当に備蓄倉庫なんですよね?

みなさん、予測はできると思うのですが、そんな疑義は絶対に出てくる話です。

例えば、廊下から使う小さな押入れ部分を備蓄倉庫として利用するとします。まぁ、建築主の要望で備蓄倉庫の計画をしたい!という事であれば十分計画としてありそうだと思います。

でも、普通の寝室や洋室の押入れを備蓄倉庫にしているのは少し厳しいと思います。なんでわざわざ洋室に備蓄倉庫なんだ?と思いませんか?技術的助言で一戸建て住宅は駄目とは書いていないですが、正直、建築主事の判断次第になると思います。

その備蓄倉庫と表記した室をもし普通の物置として利用していた場合、それに伴って容積率が法に抵触していた場合それは違反建築物になってしまいます。

備蓄倉庫で検討するのはいいとは思いますが、申請先とも相談しながら計画を進めるようにしてください。

 

私も行政庁に何度か扱いを問い合わせしましたが、結果は

バラバラです。

いくつかあげると、

先ほどご紹介した技術的助言に乗っ取っていればok 

とか

一戸建て住宅は一切認めていない

とか

共用部(廊下等)からだったら認めている

とか

まちまちですね。ここまでバラバラだと、特定行政庁に確認せざるを得ないでしょうね。

 

まとめ:一戸建て住宅で備蓄倉庫で容積緩和を受けるのは控えるべし

まぁ、まとめると、本当にグレーゾーンです。

正直言って、オススメはできません。

今回の記事を書くにあたって他のブログをいくつか確認しましたが、備蓄倉庫を一戸建て住宅に設ける裏技がある!ぐらいなコメントをしているサイトもありましたが、そんな勧めるようなものじゃないんじゃないかなぁと思っています。

もし計画するにしても、申請先に確認建主さんにご説明をお願いします。

 

その一、基準法上は一戸建て住宅内に備蓄倉庫を作る事は可能
その二、備蓄倉庫は技術的助言より 専用の室 とし 備蓄倉庫の表記をしたプレートでを設置する
その三、備蓄倉庫の取り扱いについては行政庁次第、確認を
その四、もし一戸建て住宅内に備蓄倉庫を計画する場合は建主によく説明を
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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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