一般構造

階段の寸法|基準や踏面、理想的な蹴上について

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建築基準法で定められている階段の寸法を知りたい

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

建築基準法により、階段の寸法は以下の3つが定められている

  • 階段の幅
  • 蹴上
  • 踏面

必要になる階段の寸法は、建築物の用途・規模・階段の構造によって異なる

階段の寸法は、建築物の計画に大きな影響を与える重要な要素です。

今回の記事では、必要となる階段の寸法について、わかりやすく解説します(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

階段の寸法で規制される『幅』『蹴上』『踏面』とは?

階段の寸法で規制されるのは以下の3点

  • 階段幅・踊り場の幅
  • 蹴上
  • 踏面
それぞれの寸法の定義について、詳しく解説していきましょう!

階段・踊り場の幅とは

階段幅とは、階段部分の幅のこと

手すり部分については、出っ張り部分の10㎝まではないものとみなすことができる

蹴上とは

蹴上とは、階段1段ぶんの高さのこと

踏面とは

踏面とは、踏み板の上面の奥行のこと

各種階段の寸法まとめ

建築基準法では、階段の寸法は以下のように定められている

【建築基準施行令第23条、24条、27条】

階段の種類 階段および
踊場の幅
 (㎝)
蹴上
  (㎝)
踏 面
  (㎝)
踊 場
位 置(㎝)
1
小学校の児童用  140以上 16以下 26以上 高さ3m以内ごと※
2
中学校、高等学校、中等教育学校の生徒用 140以上 18以下 26以上
劇場、映画館、公会堂、集会場等の客用
物販店舗(物品加工修理業を含む。) で床面積の合計が1,500㎡を超えるものの客用
3
直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階用のも 120以上 20以下 24以上 高さ4m以内ごと※
居室の床面積の合計が100㎡を超える地階、地下工作物内のもの
4
1~3以外および住宅以外の階 75以上 22以下 21以上
5
住宅(共同住宅の共用階段を除く。) 75以上 23以下 15以上
6
屋外階段 直通階段(令第120条、第121条) 階段の幅
のみ90以
踊場の幅、けあげ、踏面、踊場の位置はそれぞれ1~5の数値による。
(4、5の場合は屋外階段でも75cm以上で可)
その他の階段 階段の幅
のみ60以
◆回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から30cmの位置において測るものとする。

◆階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが50cm以下のもの(以下この項において「手すり等」という。)が設けられた場合における第1項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が10cmを限度として、ないものとみなして算定する。

◆昇降機機械室用階段、物見塔用階段その他特殊の用途に専用する階段には、適用しない。

※直階段の踊場の踏幅120cm以上とする。

その他、建築基準法には階段手すりの基準もあります。そちらについては別の記事で詳細に解説しているので確認して見てください。

階段の寸法の基準で見落としがちなポイントのチェック

建築基準法で記載があるのは以上になりますが、他にも見落としがちなポイントを『6点』補足したいと思います。

①用途関係無く、2階以上の居室の面積が200㎡超は規制が強化

【2階以上の居室の面積が200㎡です】

床面積ではありませんので、注意してください。(実は勘違いされている方が多くいらっしゃいます)

そして、用途が関係無く規制が強化されるという点もしっかり抑えておきましょう。

例えば、事務所などの特殊建築物でない用途でも、居室の面積が200㎡を超えるといきなり階段の規制が厳しくなりますので注意してください。

 (3) 階段および踊場の幅(㎝) 蹴上(㎝) 踏面(㎝)
直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階用のも 120以上 20以下 24以上

 

②用途関係無く、地下の居室が100㎡超は規制強化

地下になったら200㎡ではありません。居室の面積が100㎡超です】

最初にご紹介したものは、2階以上の場合でしたが、地下の場合は200㎡→100㎡に強化されます。

居室が200㎡超はそこそこ大きい規模の建築物でない限りは発生しないと思いますが、

居室が100㎡超は結構コロっと超える事があります。

地階を設ける場合は階段の寸法、要チェックです。

 (3) 階段および踊場の幅(㎝) 蹴上(㎝) 踏面(㎝)
居室の床面積の合計が100㎡を超える地階、地下工作物内のもの 120以上 20以下 24以上

 

③住宅だけ特別扱いで緩和されるが、共同住宅の階段は除く

住宅の階段は、蹴上踏面の規定が緩くなっています。表(5)です。

この住宅の階段は以下のようなものが想定されます。

【住宅の階段】
◆一戸建て住宅の階段
◆長屋の階段
◆共同住宅のメゾネットタイプの住戸内の階段

あくまで、住戸内の階段のみなので、共同住宅の共用部は表(4)の寸法となります。

一戸建て住宅と同じ寸法で計画してはいけませんのでご注意ください。

(4)(5)  階段および踊場の幅(㎝) 蹴上(㎝) 踏面(㎝)
住宅(共同住宅の共用階段を除く。) 75以上 23以下 15以上
共同住宅の共用階段 75以上 22以下 21以上

 

④直通階段かつ屋外階段だったら幅90㎝以上必要という訳では無い

さて、この表(6)を見ると、直通階段+屋外階段だと幅が90㎝になっていますよね?

ここで抑えておきたいのは、この(6)ってあくまで『緩和』なんです。

屋外階段は緩和できますよって話をしているんです。

 

よって、わざわざ幅が75㎝でよかったものを90㎝に要求を強化するものではありません。

あくまで緩和です。

【(1)〜(3)に該当する階段の時に、140㎝(120㎝)→90㎝への緩和の話】です。

 

⑤特殊の用途に専用する階段はそもそも寸法の規定が無い

コレは枠内の下の◆にまとめた内容です。(建築基準法施行令第27条の内容)

昇降機機械室用階段、物見塔用階段その他特殊の用途に専用する階段はそもそも寸法の規定は一切ありません。

なんでもokという事ですね。

 

その他特殊な用途に専用する階段とは、結構広い解釈ができそうなので、例えば点検用の階段とか、そういったもので階段の寸法の確保が厳しい部分はこの条文で検討してみてもいいかもしれません。

(もちろん、曖昧な書き方なので申請先との事前協議は必須ですが)

建築基準法で『階段の寸法』を確認する

最後に、完了検査についての法文である、建築基準法施行令23条、24条、27条を確認してみましょう!

建築基準法施行令23条

階段及びその踊場の幅並びに階段のけあげ及び踏面の寸法は、次の表によらなければならない。ただし、屋外階段の幅は、第120条又は第121条の規定による直通階段にあつては90cm以上、その他のものにあつては60cm以上、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く。)のけあげは23cm以下、踏面は15cm以上とすることができる。

階段の種別 階段及びその踊場の幅
(単位 cm)
けあげの寸法
(単位 cm)
踏面の寸法
(単位 cm)
(一) 小学校における児童用のもの 140以上 16以下 26以上
(二) 中学校、高等学校若しくは中等教育学校における生徒用のもの又は物品販売業(物品加工修理業を含む。第130条の5の3を除き、以下同じ。)を営む店舗で床面積の合計が1,500m2を超えるもの、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場における客用のもの 140以上 18以下 26以上
(三) 直上階の居室の床面積の合計が200m2をこえる地上階又は居室の床面積の合計が100m2をこえる地階若しくは地下工作物内におけるもの 120以上 20以下 24以上
(四) (一)から(三)までに掲げる階段以外のもの 75以上 22以下 21以上

 回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から30cmの位置において測るものとする。

 階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが50cm以下のもの(以下この項において「手すり等」という。)が設けられた場合における第1項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が10cmを限度として、ないものとみなして算定する。

建築基準法施行令24条

前条第1項の表の(1)又は(2)に該当する階段でその高さが3mをこえるものにあつては高さ3m以内ごとに、その他の階段でその高さが4mをこえるものにあつては高さ4m以内ごとに踊場を設けなければならない。

建築基準法施行令27条

第23条から第25条までの規定は、昇降機機械室用階段、物見塔用階段その他特殊の用途に専用する階段には、適用しない。

まとめ:階段の寸法は用途、規模、階段の構造で異なる

今回は、建築基準法上でも階段の寸法についてまとめてみました。

階段の寸法を確認する時は、用途、規模、階段の構造をよく確認して表に当てはめて計画するようにしましょう。

後から間違えた!なんてなったら大変な事になりますからね。

 

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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