建築基準法

検査済証が無い場合の対応方法。「再発行」は不可なので他の方法を

PR

さて、このページを見ている方は検査済証が無いのでアクセスしていると思うのですが、

まず、検査済証が無いにも2種類あります。

 

①当時、完了検査を受けて検査済証を交付して受け取ったが、書類を紛失してしまった

②そもそも、完了検査を受けていないので検査済証が無い

 

この2つで、天と地の差があります。

それぞれの方法を見ていきましょう。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

原則、法的な手続きでの「再発行」は出来ない

まず、こちらを説明させて下さい。

検査済証の再発行はできません。

なぜかというと、建築基準法上、検査済証の再発行が可能、となっていないから。

 

それに、もし仮に再発行がポンポンできてしまうとすると、同じ物件の検査済証や確認済証が複数世の中に出回ってしまうという事になりますね。

どれが本物なのかわからなくなり、偽装か何かの疑いが出てくると思いませんか?

検査済証、確認済証は世の中に1つだけにしなければなりません。

 

よって、検査済証の「再発行」はできません。

代わりに、検査済証に変わる手続きを踏む事になりますが、あくまでも法的根拠な書類ではありません。

つまり、何が言いたいかというと、銀行などの手続きで必要になった場合は、今からご紹介するもので手続きできるのか?というのは事前に確認が必要です。

何度も言いますが、法的根拠な書類では無いので。

ちなみに、次にご紹介する書類で、増築や用途変更などの申請は基本的に可能ですのでご安心ください。

 

完了検査を受けて検査済証を交付して受け取ったが、書類を紛失してしまった

この場合は、特定行政庁で、建築計画概要書の写し または 建築確認台帳記載証明 の手続きが可能です。

そちらで確認済証や検査済証の取得履歴、物件の概要を確認する事ができます。

ちなみに、何度も言いますが、法的なものではないので、名称などは地域によって少し違うかもしれません。

私が確認申請を出したのは、指定確認検査機関なんだけど特定行政庁に問い合わせしなきゃだめなの?

基本的には特定行政庁です。

特定行政庁に問い合わせをしていただきたい理由は2点あります

そうです。理由は2点です。

 

まず1点目は、確認済証、検査済証の取得履歴を正しく管理できるのは特定行政庁だからです。

それは、確認済証を受けた指定確認検査機関と、検査済証を受けた指定確認検査機関が異なる可能性があるからです。

建築基準法上、確認済証を受けた審査機関で検査の申請をしなければならないという決まりはありません。

確認申請はA会社、完了検査はB会社

という申請方法も可能なのです。

よって、確認申請を受けたA会社に問い合わせをしても、検査済証の交付はわかりません。

しかし、確認済証や検査済証の交付は必ず行政庁に報告しているので、特定行政庁であれば、確認済証及び検査済証取得状況を正確に把握する事が可能です。

 

そして2点目は、指定確認検査機関は守秘義務があるので、申請関わっていない者に建築物の概要を伝える事ができないからです。

ちょっと待ってよ、守秘義務って言われたら特定行政庁だってそうでしょ?

いえいえ、特定行政庁は建築基準法で閲覧させなければならないという法文があるんですよ

(気になる方は建築基準法第93条の2を確認)

建築基準法に記載がある以上、特定行政庁は概要書の閲覧を拒む事はありません。(悪用させない為にある程度のルールはあるかもしれませんが)

以上の2点より、指定確認検査機関で交付した建築物の概要書でも、特定行政庁に閲覧申請をしてください。

 

そもそも、完了検査を受けていないので検査済証が無い

こちらについては、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」という手続きがあるので、そちらに則って手続きを行ってください。

詳しくは国土交通省のホームページで確認を

要は、検査済証と同じ効力の書類を再取得する手続きです。

登録している指定確認検査機関に申請を出して進める手続きです。

検査済証が無くても、こんな手続きを国土交通省が用意してくれてるなら余裕だ!

よかった!

これが、そんなに素晴らしい手続きでも無いんです。

なぜなら、申請の難易度が高すぎるから。

このガイドライン、本当に難易度が高いです。

 

考えてもみて下さい。既に建ってしまっている建築物の構造部分などの法適合も確認するんです。

そのあたりの見えない部分の調査資料の作成、検討、検査。

もう、考えただけで大変そうじゃないですか?

 

しかも、結果、不適合でした。みたいな事もよくあるようです。

高い申請手数料、調査費、時間をかけても不適合の判子を押されてしまう可能性がある手続きです。

 

はっきり言ってしまうと、完了検査を受けていない建築物の検査済証に変わるものを取得する事は非常に難しいです。

しかし、そうは言っても、一体増築や用途変更の場合は検査済証、またはそれに変わるものは必須です。

このあたりを考慮して増築、用途変更ができるかどうかは慎重に判断をしたいですね。

 

まとめ:当時完了検査を受けていない物件の所得は厳しい

いかがでしたか?

まとめると、

①完了検査を受けて検査済証を交付して受け取ったが、書類を紛失してしまった→特定行政庁に閲覧申請

②そもそも、完了検査を受けていないので検査済証が無い→指定確認検査機関のチェックによる再取得

となるわけです。

 

②の場合は本当に厳しいです。

もちろん、増築や用途変更を行う為には避けて通れない道だとは思いますが、

先ほどご紹介した通りかなり難しい申請です。

相当な覚悟を持った上で再取得に挑んでください。

 

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

PR