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確認申請の押印廃止!…ただし、完全には無くなっていない!

 

施工日:令和3年1月1日

ついに!建築確認押印必要無くなる改正がありました!

twitter:sozooro

という事で、確認申請には革命が起こりそうです。

やった!これで、私はハンコを捨ててやるんだ!

もうハンコなんて、押してたまるものか!

だめです!ハンコは捨てられません!

しっかり読み込めばわかる話ですが、今回の改正で押印が無くなるのはほんの一部のみだからです。

なんで?一部のみってどういうこと?
簡単に言うと、今回の改正は行政手続法に関わる部分のみ、押印が不要になっただけ。

建築士法で定められている押印は、何も変わっていないので残ります。

ややこしい事に一部図書は押印が残ります。今回はそんな改正後の押印が必要になる図書、不要になる図書を確認していきます。

よって、今までの図書の中で、以下3つに分かれます。

改正により押印が不要になる図書

申請先によって判断が分かれる図書

今まで通り押印が必要な図書

それでは、3つに分類してそれぞれ詳しく確認していきましょう。

改正により押印が不要になる図書

✔️申請書(確認申請、中間検査、完了検査、仮使用、計画変更)

✔️上記手続きに添付する設計図書

✔️建築工事届の除却工事施工者の押印

こちらは、今回の改正によって押印が不要となります。

改正 規則第1条の3(確認申請書の様式)
 
別記第2号様式による正本1通及び副本1通に、それぞれ、次に掲げる図書及び書類を添えたもの(正本に添える図書にあっては、当該図書の設計者の記名及び押印があるものに限る)

⬇︎

改正 規則第1条の3(確認申請書の様式)

別記第2号様式による正本1通及び副本1通に、それぞれ、次に掲げる図書及び書類を添えたもの(正本に添える図書にあっては、当該図書の設計者の氏名が記載されたものに限る)

申請先によって判断が分かれる図書

✔️委任状※ただし、添付は必須!

✔️訂正印

こちらは、改正の内容では読み取れませんが、パブリックコメントの回答より

訂正委任状への押印及び承諾の手続については法令上定めがないため、訂正印や委任状、諾書等への押印の要否については審査機関ごとにご判断いただくことになります。

パブリックコメントより)

よって、審査機関毎の判断になるので、申請先に確認するようにしましょう。

ただし、委任状は審査機関が押印不要と判断しても、押印無しのまま添付が必要です。

押印が無いのに添付?それって意味ある?
私も意味わからないなぁと思いましたが、これは規則1条の3で定められている内容なので必要です!

押印が無い委任状の違和感が個人的には半端無かったのですが、一応これは注意しておきましょう。

改正 規則第1条の3(確認申請書の様式)

一 別記第2号様式による正本1通及び副本1通に、それぞれ、次に掲げる図書及び書類を添えたもの(正本に添える図書にあっては、当該図書の設計者の氏名が記載されたものに限る)

(省略)

二 別記第三号様式による建築計画概要書
三 代理者によつて確認の申請を行う場合にあつては、当該代理者に委任することを証する書類(以下「委任状」という。)又はその写し

今まで通り押印が必要な図書

✔️建築士法による設計図書

✔️構造安全証明書

(✔️フラット35の申請書関係

どうして!?設計図書の押印は不要になったんじゃないの?
今回改正になったのは、建築基準法施行規則です。建築士法でも記名押印を求めている法文がありますが、そちらは何も変わっていません。

だから、建築士法で定められている設計図書はすべて押印が必要です…。

規則の設計図書も、建築士法の設計図書も同じものなんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、パブリックコメントで明確に別物と回答があります。

Q.この度の改正は行政手続等の際に求めていた押印に関するものであり、建築士法第20条、20条の2、20条の3で規定している、設計図書への記名・押印は、引き続き必要という理解でよろしいか。その場合、建築基準法施行規則で規定している、確認申請に添付する図書への設計者の記名・押印が見直されて押印不要となった場合、確認申請に添付する図書は、建築士法で規定する設計図書には当たらないという整理でよろしいか。

A.建築士法に基づく設計図書への記名・押印は今回の改正では見直しておりません。確認申請の添付図書は、建築士法第20条の「設計図書」とは異なるものであり、当該添付図書 への設計者の押印は、建築基準法施行規則第1 条の3で規定しているものであるため、本省令 改正により不要となります。

パブリックコメントより)

素直に読むと、あくまで建築確認の手続き上の押印のみの廃止で、15年保存する図書、お施主さんとやりとりする図書は押印が必要という事になると思います。

だから、押印制度は無くなっていません!

そちらに伴って、構造安全証明書押印が必要です。(建築士法第20条第2項の決まり事で、そちらは何も変わっていないからです。)そちらもパブリックコメントより回答があります。

Q.添付自体不要とできず、第四号様式「構造計算によってを構造物の安全性を確かめた旨の証明書」の建 築士の押印について廃止ができない場合には、証明書と構造計算書の割印について廃止してほしい。

A.本省令改正は国民や事業者等に対して押印 を求めている行政手続について、押印を不要と する等の改正を行うものです。構造計算安全証明書は民間事業者間における押印の規定であ り、引き続き押印は必要となります。

パブリックコメントより)

同じ理由で、フラット35の資料も今回の改正に一切関係無いので継続して押印が必要です。

Q.いつから今回の改正が適用されるか?

令和3年1月1日以降に申請を受付した手続き

今回の改正は受付日を基準としています。

まとめ:すべての図書は押印不要になるわけじゃない

不確定要素はまだあるものの、現状わかる範囲で内容をまとめてみました。

最後にまとめると

押印不要

✔️申請書

✔️確認申請に添付する設計図書

✔️建築工事届

判断による ✔️委任状

✔️訂正印

押印必要 ✔️建築士法による設計図書

✔️構造安全証明書

(✔️フラット35の申請書関係

押印は完全に無くなると思っていた方によっては少し残念な結果だったのでは無いでしょうか。しかし、建築確認の手続きは確実に楽になります。前向きに捉えていきましょう!

まだまだ不明確な図書はあると思いますので、そちらは申請先に確認をするようにしてください!

最後までありがとうございました!

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ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』