単体規定

廊下の排煙設備について。室として告示で免除は可能か?

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排煙設備が必要な建築物の廊下を告示で逃げたい。

告示第1436号第四号二(4)を使いたいんだけど、廊下は室として扱っていいのでしょうか?

今回の記事ではこんな悩みに根拠を元に答えます。

 

結論としては

室としての告示の適用は可能。ただし注意事項があります。

廊下の排煙設備の告示適用は廊下の面積が100㎡超えるかどうかで大きな差があります。

今回はそんな廊下の排煙告示についての話を深掘り、そして告示以外の排煙設備の適合方法を確認してみましょう。

そもそも廊下は排煙設備必要なのかわからない方がいたら、必要な場合と不要な場合がありますので、以下の記事で確認してみてください!

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

廊下で使いやすい排煙告示とは?

排煙設備の告示、廊下で適用するとしたら告示1436第四号二(1)(2)

排煙設備の免除については別の記事で詳細に解説しています。

それぞれの免除する条件を整理すると、

告示1436第四号二(1)

以下の3つの要件全て満たす事

(非居室)である事

②壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料

③免除する室とその他の部分を防火設備(常時閉鎖随時閉鎖、常閉)で区画する事

※面積制限無し

告示1436第四号二(2)

以下2つの要件どちらの満たす事

(非居室)である事

床面積が100㎡以下で、防煙区画されたもの

 

質問者さんが『廊下=室』として考えていいのかわからないようですね。

そちらについて確認していきましょう!

廊下は『室』として扱っていいのか?

廊下は『室』として取り扱って問題無いと考える事が出来ます。

根拠は『建築物の防火避難規定の解説』に記載があります。

廊下については、平12建告第1440号の趣旨をふまえ、室として扱うことができる

建築物の防火避難規定の解説』の平12建告第1436号の第四号二及びホの範囲より

こちらを根拠に、廊下は室扱いできると思います。

だから、廊下は排煙告示(告示1436第四号二(1)(2))の適用が可能です。

廊下の排煙設備の免除は100㎡を超えるかどうかで大きく異なる

さて、排煙設備の告示は2つあり、どちらも廊下で適用可能である事はわかりました。

しかし、ここで抑えてほしいポイントが『100㎡』を超えると排煙設備の告示は告示1436第四号二(1)しか原則使えなくなります。

(1)には面積制限がありませんが、(2)は面積制限(100㎡以下)があるからです。

つまり、(1)の適合の為に、防火設備などでしっかり区画しないといけないという事ですね。

いや!そんな事無いでしょ!

100㎡以内毎に防煙区画をすればいいんだから、100㎡を超えても、廊下の間を防煙区画して、排煙告示を適用させればいいじゃ無いの?

法律上では確かにそのように読めるのですが、『建築物の防火避難規定の解説』のQ &Aにそちらの適用が出来ない旨の回答があります。

Q 100 m²を超える廊下について、平成 12 年建 告第 1436 号第四号ニ(二)の規定を適用して、 当該廊下を 100 m²以内ごとに防煙壁で区画することにより、排煙設備の設置を免除するこ とができるか。

A 平成 12 年建告第 1436 号第四号ニ(二)の 規定は、100 m²以下の室に適用できるもので あり、100 m²を超える室(廊下)を 100 m²以内 ごとに防煙壁で区画しても適用できない。

建築物の防火避難規定の解説』のQ &Aより

要は、防煙区画した程度では別の室としての適用は出来ないという事ですね。

だから、100㎡を超えた廊下を排煙設備の告示で適合させる場合は告示1436第四号二(1)で適合させましょう

排煙告示の適用せずに、排煙設備を設置する場合は?

排煙設備の告示が告示1436第四号二(1)しか使えないのはわかった!

でも、この告示って防火設備で区画したり、内装材の制限が色々あって、私としては適用させたく無い。

だから、普通に排煙設備を設置する事にしたい!

ちょっと待った!

考え方としては問題ありませんが、広い廊下は排煙設備の適合をさせる事は難しいです!

100㎡を超える廊下となると、廊下はかなり長さがあると思います。

そこで、問題になってくるのは排煙設備の構造部分である、令第126条の3第1項第三号です。

排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が30m以下となるように、天井又は壁の上部(天井から80cmたけの最も短い防煙壁のたけが80cmに満たないときは、その値以内の距離にある部分をいう。)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。

『建築基準法施行令第126条の3第1項第三号より』

要は、全ての排煙口から同一排煙区画の廊下の隅々までの距離を30m以内にしなければならないという事です。少し長い廊下だと、こちらの30mの規定の適合がかなり厳しいです。

だから、もし廊下の面積が100㎡を超えた場合は、適合方法としては以下の2つになります。

廊下の面積が100㎡を超えた場合

告示1436第四号二(1)を適用する事(こちらは100㎡以上でも適用できるので)

②排煙口から廊下の隅々まで30m以内の距離になるように防煙区画をして排煙設備を計画する

(②について補足。排煙設備の方では、先ほどの室として見れないとかそういう話は忘れてください。あれは排煙告示の話です。混同しないように。)

まとめ:廊下は排煙設備の告示は適用可能!ただし、100㎡超えは注意必要

廊下も室として排煙設備の免除を適用すると可能ですが、廊下の面積が100㎡を超えると適合が難しくなります。

以下、簡単にまとめてみました。参考にしてみてください。

廊下の面積が100㎡以下の場合 廊下の面積が100㎡超の場合
告示1436第四号二(2) 告示1436第四号二(1)

②30m以内の距離になるように防煙区画をして排煙設備

 

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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