今回の記事ではこんな疑問に法的根拠を元に答えます。
ざっくりまとめると、
原則として専用部分は廊下幅の規定の適用を受けません。ただし、規模が大きくなると適用を受けることもあります。
住宅は、所定の条件を満たした共用部分の場合は廊下幅の規定の適用を受けます。
住宅であっても、住宅で廊下の幅の規定を受けるか?
住宅であっても、所定の条件を満たす場合は廊下の幅の規定を受ける事になりますが、住宅の用途によって異なります。
住宅と言っても、一戸建て住宅・長屋・共同住宅・寄宿舎の4つに分類されます。このどれに該当するかによって、廊下の幅の規定を受けるかどうかに大きく関わります。
一方、一戸建て住宅や長屋の場合は相当規模が大きくないと廊下の幅の規定は受けません。
それぞれの用途に分けて、どうなると廊下の幅の規定を受けるのか確認していきましょう。
一戸建て住宅・長屋の場合
一戸建て住宅・長屋の場合…
居室の床面積が200㎡※を超える階は廊下の幅の適用を受ける
※…地階の場合は100㎡
注目していただきたいのは、床面積はあくまで居室だということです。だから、床面積が200㎡を超えている階であっても、廊下の幅の適用を受けないということです。
しかも、建物全体の合計ではなく、階ごとにカウントします。例えば、1階の居室の床面積が150㎡、2階の居室の床面積が100㎡であったとしても、各階の居室の床面積が200㎡を超えていないので、廊下の幅の適用は受けないということです。
共同住宅の場合
共同住宅の場合…
住戸の床面積が100㎡を超える階は廊下の幅の適用を受ける
共同住宅の場合は、比較的小規模であっても廊下の幅の適用を受けることとなります。
まず、一戸建て住宅や長屋だったら『居室の床面積』だったところが、『住戸の床面積』です。当然ですが、住戸の面積は非居室も含むので、数値が大きくなります。
また、一戸建て住宅や長屋だったら『200㎡』だったところが、『100㎡』です。
だから、共同住宅の方が廊下の幅の規定は受けやすいです。
ただし、共同住宅の場合は共用部分のみの廊下の幅のみ適用を受けるので、住戸内の廊下には廊下の幅の適用は受けません。これは、少し違いがあります。
寄宿舎の場合
寄宿舎の場合…
居室の床面積が200㎡※を超える階は廊下の幅の適用を受ける
※…地階の場合は100㎡
これは、一戸建て住宅・長屋と全く一緒です。ただし、寄宿舎の場合は一戸建て住宅・長屋よりも規模が大きくなりがちなので、廊下の幅の規定の適用は受けがちです。
少し大きめの寄宿舎であれば廊下の幅の適用を受ける必要があるので、注意しましょう。
廊下幅で確保すべき寸法は?
廊下幅で確保すべき寸法は?
- 両側居室の場合は1.6m
- 片側居室の場合は1.2m
廊下の幅の適用は、両側に居室があるか、片側に居室があるかで異なります。どちらに該当するか慎重に判断しましょう。
廊下の幅の適用を受けない建築物の寸法は?
建築基準法では、人が通れる寸法として75㎝という寸法が度々出てきますので、75㎝あれば、問題無いでしょう。
法文で確認する【建築基準法施行令119条】
住宅の居室の採光計算については『建築基準法施行令119条』に記載されています。
建築基準法施行令119条
廊下の幅は、それぞれ次の表に掲げる数値以上としなければならない。
廊下の用途
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廊下の配置
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両側に居室がある廊下における場合
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その他の廊下における場合
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(単位m)
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(単位m)
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小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの
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2.3 | 1,8 | |
病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が100㎡を超える階における共用のもの又は3室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が200㎡(地階にあつては、100㎡)を超える階におけるもの
|
1,6 | 1,2 |
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まとめ
✔️住宅であっても、場合によっては廊下の幅の適用を受ける
- 一戸建て住宅・長屋・寄宿舎▶︎居室の床面積が200㎡※を超える階
- 共同住宅▶︎住戸の床面積が100㎡を超える階
✔️廊下の幅の適用を受ける場合、以下の寸法が必要
- 両側居室の場合は1.6m
- 片側居室の場合は1.2m