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建築基準法改正2019その④ 共同住宅の界壁の条文2つ、なんとどちらも緩和!

最近レオ○レスでも色々言われている界壁ですが、こちらも緩和されました!

ちなみに、みなさんは界壁って基準法上に2つ存在している事をご存知ですか?

 

音の界壁(法第30条)

防火の界壁(施行令第114条)

 

です。

なんと!!!今回同時に緩和されました!

結論から言うと、条件付きですが、小屋裏天井裏まで達しめる必要が無くなりました!

最初読んでた時は防火の界壁の話しか緩和されてないんじゃないかと思って読んでいたのですが、ちゃんとどっちも改正されていました、流石です。

今回はそれぞれの条文がどのような緩和されているのかをご説明したいと思います。

 

まずは防火の界壁の話。

改正前 施行令第114条
  長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

改正後 施行令第114条
 

長屋又は共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める 部分の界壁を除く。)は、準耐火構造とし、第百十二条第三項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない

国交省のホームページで施行令第114条を確認したい方はこちら

めっちゃ緩和されています!ありがとう!

表にまとめるとこんな感じ。

パターン①スプリンクラー設置で小屋裏天井裏まで達する必要無し

法文で確認する限りだと、スプリンクラー設置で界壁の話は無くなります。(もちろん小屋裏天井裏の話も無し)

国交省のHPを確認すると、200㎡以下に防火区画する場合とありますが、現在出ている法文を確認する限りだと、200㎡という記載が無さそうです。(令112条3項の本文の中には200㎡以下のそれっぽい条文の話があるのですが、令112条3項の各号という書かれ方だと、あくまで本文の話は関係して来ないはずなので)

 

パターン②防火上支障は無いものとして国土交通大臣が定める部分は界壁不要

こちらはまだ検討中のようです。

今後の技術的な研究を踏まえて対応を検討する見込みということですが、想定させる内容としては、施行令第114条2項の緩和である告示860号のような内容のようです。

 

パターン③強化天井にすることにより、小屋裏に達しめる必要は不要!

強化天井の基準については、以前からあった告示694号に適合させればokです。

強化天井の告示の内容としては、強化石膏ボード2枚以上、厚さ合計36mm以上です。これは今後活躍してくる内容になるのでは無いでしょうか。

 

そして音の界壁の話。

改正前 法第30条
  長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

改正後 法第30条
 

長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。

一 その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するため に界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定め た構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。

二 小屋裏又は天井裏に達するものであること。

2  前項第二号の規定は、長屋又は共同住宅の天井の構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために天井に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準 に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては適用しない

国交省のホームページで法第30条を確認したい方はこちら

遮音の話についても、天井の強化によって小屋裏まで達しめる話が緩和されています。

この国土交通大臣が定めた構造方法についても明確に出されています。

施行令第22条の3

法第三十条第一項第一号(法第八十七条第三項におい て準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次の表の上 欄に掲げる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄に掲げ る数値以上であることとする。

(表省略)

2 法第三十条第二項(法第八十七条第三項において準用する場合を含 む。)の政令で定める技術的基準は、前項に規定する基準とする。

国交省のホームページで施行令第23条の3を確認したい方はこちら

つまりは、今までの壁と同じ性能の天井にすればokということですね!

 

まとめ

で?界壁はどうすればいいかと言うと、どっちも適合させなければいけないのは変わりがないので、もしどうしても小屋裏天井裏に達しめないようにする為には、2つの条文で確認しなければならない事。そちらをよく確認するようにしてください。

いずれにしても、小屋裏まで達しめる必要が無くなるのは嬉しいですよね!

基準法ではないのですが、中廊下型の共同住宅の小屋裏換気って結構難しかったのでこれは活躍する条文なんじゃないかと思っています!

こちらの話については細かい内容がわかり次第また内容は追記します。

 

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』