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建築基準法改正 2019その②法第27条緩和!木3共の規制はどうなったのか

木3共

このワードだけで私は嫌になりますね!木造3階建共同住宅の事を示します。共同住宅2階までは余裕だったのに3階になった途端難しくなるというアレです。

全ての元凶はズバリ、法第27条です。

簡単にご説明すると、共同住宅3階にあったら耐火建築物にしなさいよ?準耐火にしたいなら45分準耐火→60分準耐火にしたり、3m空地とったり、階段廊下を開放させたり、避難上有効なバルコニー付けなさいよ、という条文です。(こんなざっくりしてても知っている人はわかるはず)

そこで法第27条の法改正!緩和!と聞いて皆さん期待されたんじゃないですか?

結論から申し上げると

緩和はされたけど、そうでもない

と言った感じです。おそらく、新築でも恩恵はありますが、法改正の意図としては一戸建て住宅の用途変更の促進なんだろうなぁと言った印象を受けます。

では、早速詳細にご説明します!

 

法第27条除くもの全部床面積200㎡未満+αの設備が必要

改正前
  3階別表第一(二)項【共同住宅や児童福祉施設】の用途がある建築物は耐火建築物60分準耐火建築物(他にも条件あり)にしてね

改正後 3階別表第一(二)項【共同住宅や児童福祉施設】の用途がある建築物は耐火建築物60分準耐火建築物(他にも条件あり)にしてね

ただし、3階の200㎡未満だったら免除。(就寝の用途に利用するものは自動火災報知器か特定小規模設備用自動火災報知器が必要)

 
 

 

私が緩和されたけど新築には微妙だな!と思った点は以下の2点の理由です。

1、原則床面積200㎡以下しか適用できない
2、+α要素で就寝利用する用途自動火災報知設備特定小規模設備用自動火災警報器

小規模な共同住宅にも関わらず、自動火災報知設備が必要になってしまうのです。

そして、何より200㎡以下というものネックですよね。3階建てで各階60㎡くらいになるので小さい建築物にしか適用できません。

 

条文は今回短いのでこちらに掲載します。

(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)

【第27条】 (略)

一  別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表 欄 項から 項までに掲げる用途に供するもの(階数が三延べ面積が二百平方メートル未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二) 項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)

二・三 (略)

四 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が一階にないもの(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満のものをいもの除く。)

 

政令で定めるものに供するもの

(警報設備を設けた場合に耐火建築物等とすることを要しないこととなる用途)

【施行令第110条の4】  法第二十七条第一項第一号の政令で定める用途は、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎及び児童福祉施設等(入所する者の寝室がある ものに限る。)とする。

政令で定める技術的基準に従つて警報設備

(警報設備の技術的基準)
【施行令第110条の5】 法第二十七条第一項第一号の政令で定める技術的基準は、当該建築物のいずれの室(火災の発生のおそれの少ないものとして 国土交通大臣が定める室を除く。)で火災が発生した場合においても 、有効かつ速やかに、当該火災の発生を感知し、当該建築物の各階に 報知することができるよう、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる警報設備が、国土交通大臣が定めるところにより適当な位置に設けら れていることとする

 国土交通大臣が定めた構造方法を用いる警報設備

(警報設備の構造方法及び設置方法を定める件)
【告示194号】 第一 (略)

第二 令第百十条の五に規定する警報設備は、次の各号に掲げる警報設備の種類の区分に応じ、それぞ れ当該各号に定める規定に適合するように設けるものとする。
自動火災報知設備 次に掲げる規定

イ・ロ(略)

特定小規模施設用自動火災報知設備 次に掲げる規定

イ・ロ(略)

告示194号はだいぶ省いているので全文確認したい方はこちらから

 

一番のポイントは就寝する用途には自動火災報知器ってところです。

まぁ、少し考えればわかるのですが、火災が発生したときに寝ている人は火事に気がつかないので、自動火災報知器ですぐに火事を周知してあなたの事を起こすから建物が燃える前に逃げてね!ってことです。自動火災報知設備は目覚ましって事ですね。

まず、就寝の用途に供するものというのは別表第一の(二)項のほとんどが該当します。共同住宅とか、ホテルとか。

その中でも児童福祉施設は寝室があるものに限られていたり診療所は患者の収容があったりするものと分かれています。

就寝の用途があるかどうか、これで自動火災報知器が必要かどうか変わってきますのでそちらをよく確認して進める必要がありそうですね。

 

考えてみた、法改正の意図。それは用途変更

冒頭でも触れましたが、3階の一戸建て住宅の用途変更の促進だと思います。

法改正前は、特殊建築物への用途変更ってかなり厳しかったんですよ。

それは、主要構造部が60分準耐火(イ-1)にしなくてはならないから。

 

3階の一戸建て住宅なんて、主要構造部は良くても45分準耐火(イ-2)ですよね。

せいぜい準防火地域にしているからっていうので45分準耐火にしているくらいので、60分でわざわざ計画しているなんて絶対無いです。

 

一戸建て住宅ってだいたい200㎡未満なので、建物全体を用途変更していても200㎡未満だし、頑張れば自動火災報知器も設置できると思うんですよね。(就寝用途ないなら、自動火災報知器いらないし)

 

例えば、

  • 3階200㎡未満一戸建てを共同住宅に用途変更→自動火災報知器設置だけで法第27条ok
  • 3階200㎡未満一戸建てを保育園に用途変更→就寝利用無しなので何もしないでも法第27条ok

すごくないですか?用途変更これは楽になりますよ。

 

まとめ

いかがでしたか?木3共同住宅の用途変更かなりしやすくなりましたよね!

 

まぁ、新築については大体200㎡は超えてしまうと思うので、木3共の規定とのお別れはまだできないと思いますが。3m空地、避難上有効なバルコニー、などなど。

でも、あくまで私が個人的に新築で使いづらいなぁと思っただけで、新築でもこれから大活躍するかもしれませんね!

 

ちなみに、法第27条の主要構造部の見直しもされているようですが、こちらは順次施行の内容なので、今の段階でははっきりした内容はわかりません。(なんか、耐火建築物にしなくても3階建てだったら60分準耐火、4階建てだったら75分準耐火、5階建てだったら90分準耐火でもokにする、とかそんな内容みたいですよ。)

次回はこの流れで200㎡以下の竪穴区画もかなり緩和されてやりやすくなったのでそちらをご紹介します!最後まで読んでくださりありがとうございました!

 

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』