地方公共団体の条例

路地状敷地・旗竿地・袋地の定義とは?わかりやすく解説【法43条3項】

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路地状敷地(旗竿地・袋地)ってどんな敷地?

路地状敷地は何m以上の幅員が必要なの?

路地状敷地の建築制限って?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

路地状敷地の定義は、地域によって異なる。ただし、一般的には、『道路から見渡せない死角がある敷地』が路地状敷地

路地状敷地の通路は、最低でも2m必要。場合によっては、それ以上の幅員が必要となる

路地状敷地には、以下2つの規制がある

1、特殊建築物→路地状敷地のみに接する敷地に計画制限

2、特殊建築物以外→路地状部分の幅員と路地状長さを制限

路地状敷地は、条例によって定められる規制です。

今回の記事では、おおよその内容をわかりやすく解説します!twitter:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

路地状敷地・旗竿地・袋地とは?

路地状敷地・旗竿地・袋地とは?

道路から奥まったところに位置し、細長い路地状部分(敷地延長・専用通路)で道路に接する敷地

様々な呼ばれ方がありますが、基本的に細長い路地状部分を有する敷地が路地状敷地と呼ばれています。ただ、実際には路地状敷地の定義は地域によって異なります。

そもそも、路地状敷地は建築基準法の規制を受ける敷地ではありません。後ほどご紹介しますが、路地状敷地は地方公共団体の規制を受ける敷地なのです。

つまり、路地状敷地の定義はその都度、地域の定めを確認しなければならないということです!

しかし、そうは言っても、毎回路地状敷地の定義を地域に確認するのは大変です。そこで、今回の記事では安全側の路地状敷地の定義をご紹介します。

路地状敷地は、『道路から見渡せない死角がある敷地』

一般的には、『道路から見渡せない死角がある敷地』が路地状敷地と言われています

図で確認していただいた方がわかりやすいので、以下のような死角がある場合を路地状敷地として定義されています。

確かに死角になる箇所が出てきますよね?これは「敷地道路から見渡せない死角がある事」に該当しています。(=路地状敷地)

では、他の敷地形状で路地状敷地に該当するか見ていきましょう。

一見間口が広く接道が無さも有効に確保される場合でも「路地状敷地」に該当する場合もあります。

敷地が不成形で、死角ができてしまう場合、申請する地域に路地状敷地の定義を確認した方が良いです!

例えば、新宿区では路地状敷地の定義について以下のような見解を出しています。参考にしてください。

路地状敷地の形状について/新宿区より引用

 

路地状敷地の建築制限とは?

路地状敷地は法第43条第3項の地方公共団体が条例で制限を付加する項目です。建築基準法では路地状敷地は制限が無いので、全国統一の規定ではありません。よって、地方公共団体が指定していなかった場合は路地状敷地の制限が無い場合もあります。

そして、制限の内容も地方公共団体が独自に定めています。そして、制限も地方公共団体によって独自で定められています。

路地状敷地に地方公共団体が定める2つの制限

特殊建築物→路地状敷地のみに接する敷地に計画制限

特殊建築物以外→路地状部分の幅員と路地状長さを制限

①地方公共団体の条例次第ですが、『特殊建築物は路地状敷地にそもそも建てる事が出来ない』場合があります。これは、用途の計画に大きく影響を与えてきそうですよね。

②特殊建築物以外についても、『路地状部分の幅員に応じて、路地状部分の長さを制限する規定を付加している制限もあります。路地状部分の幅員と路地状部分の長さの関係性は以下のようになります。なお、幅員は最低2m必要です。

「道路から見渡せない死角がある」この観点から路地状長さを考える

路地状敷地には、様々な形状がありますが、どこまでが路地状部分で長さがどこなのかわかりづらくなってきます。

路地状部分の長さはどこまでが路地状部分なのか判断できれば簡単!

では、路地状敷地の代表格である旗竿敷地を用いて、路地状部分の判断をし、路地状部分の長さを確認してみましょう。

このように、敷地内に入り込んで、敷地全体が見渡せるようになったらそれより先は路地状部分にはなりません。(図の緑部分)

一方で、それより手前の敷地は路地状部分となります。(図のグレー部分)

 

そこで、また他の敷地形状の路地状部分の判断と路地状部分の長さを確認してみましょう。

図のように、敷地が変形しており、奥まである場合は路地状部分がかなり長くなる恐れがあります。(実際こういった考え方をする行政庁はあります)

建築基準法で『路地状敷地の建築制限』を確認する

最後に、路地状敷地の建築制限の法文である、建築基準法第43条3項確認してみましょう!

3 地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する建築物について、その用途、規模又は位置の特殊性により、第一項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるときは、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。
一 特殊建築物
二 階数が3以上である建築物
三 政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物
四 延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合にあつては、その延べ面積の合計。次号、第四節、第七節及び別表第三において同じ。)が1000平方メートルを超える建築物
五 その敷地が袋路状道路(その一端のみが他の道路に接続したものをいう。)にのみ接する建築物で、延べ面積が150平方メートルを超えるもの(一戸建ての住宅を除く。)

路地状敷地に該当しても慌てず行政庁に確認すべし

路地状敷地は実は建物が建つ建たないを決める非常に重要な項目ですが、良くも悪くも地方公共団体が定めているので明確な統一見解が無く、曖昧です。

よって、場所によっては緩かったり厳しかったりするので、まずは地方公共団体に確認をしてみましょう!

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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