四号特例の廃止は難しいと思う理由について

twitterなどで情報を集めていると、『四号特例は廃止すべき』という主張をされている方が非常に多いと感じました。その理由を調べてみると、なるほどな〜と思ったりもしました。しかし、建築基準法の観点からみると、四号特例の廃止は難しいと思います。

今回は、どうして四号特例の廃止の主張をされている方がいるのか。そして、建築基準法上、どうして廃止が難しいのか。その辺りを出来るだけわかりやすく解説してみます。

どうして四号特例は廃止すべきなのか

そもそも四号特例とはなんでしょうか?四号特例とは、『確認申請の手続きを簡略化する為の特例』です。

建築基準法に記載されている内容は、全て適合させなくてはならない、というのは当然の事ですよね。特例だなんて言われると、建築基準法の内容の緩和があるように感じますが、そんなものは一切ありません。

四号特例とは、確認申請で審査項目が減るだけの特例です。例として、四号建築物(建築基準法第6条第1項第四号の建築物、木造2階建ての住宅など)は構造耐力(法第20条)の規定は特例の対象なので、確認申請に構造関係の図書が不要です。

確認申請とは、特定行政庁や指定確認検査機関などの法律の専門家から、建築基準法に適合している、というお墨付きである確認済証を取得する手続きです。四号特例とは、一部規定(構造耐力)が法律の専門家からチェックされないという事です。

この説明を聞いて、そんなの危ないんじゃないの?と思った方もいるかもしれません。しかし、心配ありません。それは、四号特例を使う為にはある条件があるからです。その条件とは『建築士の免許を持っている者が設計している事』です。

建築士の資格は国家資格です。国から認可を受けた、設計のプロと言えるでしょう。だから、わざわざ全ての規定の確認を法律の専門家からチェックされる必要がないのです。プロですから、自分でしっかり確認して法適合させる事が前提です。

建築士が信頼されているからこそ、四号特例というものは成立していると言えるでしょう。

では、なぜ『四号特例は廃止すべき』と言われているのか。それは、平成20年に四号特例が適用された建売住宅において、約1800棟の住宅に構造耐力(法第20条)違反があった為です。具体的には、仕様規定である建築基準法施行令第46条の壁量計算です。これが1800棟も違反していた事が発覚しました。

四号特例が適用されていた事は、建築士が設計した住宅という事です。四号特例は、建築士というプロを信用した上で成り立っているものなので、こんな事は想定外です。要は、建築士がちゃんと法律を守って計画していなかったという事です。

だから、『四号特例は廃止すべき』という主張は、納得出来る理由ですよね。

どうして四号特例は廃止されないのか?

実は、四号特例は廃止される予定でした。というもの、1800棟の違反は国土交通省も把握しており、『四号特例は見直しをします!』と宣言までされていました。

しかし、その宣言は『平成20年』です。もう、10年以上経過していますが四号特例は廃止になっていません。

どうしてなのか?考えてみました。(ここからめちゃくちゃ個人的な意見なので、参考として読んでください!)

おそらく、四号特例の廃止が出来なかった理由は、建築基準法を改正をすると四号建築物は全て『既存不適格建築物』になってしまい、その後の改修などに影響が出てしまうからだと思います。

既存不適格建築物とは、工事を着工した時は現行法の法規に適合していたとしても、その後の法改正で不適合になってしまう建築物の事です。

現在建っている四号建築物は全て四号特例を受けているので、全て既存不適格建築物扱いになってしまう可能性があります。(どうやって法の整備をするかによるかもしれませんが)

その結果、既存の四号建築物の改修や用途変更の難易度が上がってしまうかもしれません。

既存不適格建築物は、増築などする場合は原則、現行法に適合させなくてはなりません。(このあたりは、ブログでわかりやすく解説しています。既存不適格建築物とは?増築等する時の考え方【法第3条2項3項】)だから、現行法に適合させるとなると、四号特例を受けている四号建築物の扱いはどうするのか、結構悩ましいと思うんですよね。

セオリー通りに行くなら、増築や用途変更などの確認申請があれば、新築には確認していなかった構造耐力(法第20条)の確認の為、図書の添付が必要になります。でも、それってかなり大変ですよね…。今、国としては既存建築物の活用を促進しています。だから、増築や用途変更がしづらくなる改正はやりたくないと思うんですよね。

四号特例の廃止はその既存不適格建築物になった場合のバランスを取るのが難しいんじゃないかなと考えられます。

結論!四号特例はこれからどうなるの?

国土交通省は、『四号特例は見直しをします!』と宣言していましたよね。なのに、無策でいいのか国土交通省!嘘つきじゃないか!と思いますよね。

実は、国土交通省は四号特例の問題についての対策を既に取っています。

2020年3月に、建築士法施行規則(第21条関係)が改正、図書保存が見直され四号建築物は構造計算書等の図書を15年間保存することが義務付けられました。

つまり、構造計算等を保存しなかった場合、保存図書の部分で違反になるという事です。

これで、実質的に四号特例を廃止しているという事です。四号特例の直接的な改正は難しいと判断したのでしょうね。

今後、直接四号特例を廃止するなら、既存不適格部分の整備はどうするのか…個人的にはすごく気になります。

最後までありがとうございました!