単体規定

【住宅の階段】3階建は階段が必要、2階建は階段が不要

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今回は『住宅の階段』についての記事です。

 

あくまで建築基準法上の話なのですが、

3階建ての住宅は固定階段が必要ですが、

2階建ての住宅は固定階段の必要はありません。

ん?じゃあ、2階建ての住宅は固定階段が無くてもいいって事?
建築基準法上だと、そういう事!だから、はしごの設置とかでokって事!

本当に?という方に向けて、

3階建ての住宅は固定階段が必要だけど、

2階建ての住宅は固定階段が不要な事を法文で確認してみましょう!

 

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

固定階段の設置が必要になる法文

それは、『直通階段の設置』の法文です。

早速法文を確認してみましょう。

 

建築基準法施行令第120条 直通階段の設置

建築物の避難階以外の階(地下街におけるものを除く。次条第1項において同じ。)においては、避難階又は地上に通ずる直通階段傾斜路を含む。以下同じ。)を居室の各部分からその1に至る歩行距離が次の表の数値以下となるように設けなければならない。

(省略)

 

 

このように、法文の中に『直通階段を設けなければならない』という記載が読み取れますよね。

だから、

『直通階段の設置』がかかる建築物は固定階段を設けなければならない

となるんです。

 

直通階段は3階建てにはかかるけど、2階建てにはかからない

さて、『直通階段の設置が必要になった建築物は固定階段が必要』とわかったところで、

なぜ3階建てにはかかり、2階建てにはかからないかを確認してみましょう。

 

この、『直通階段の設置』の条文なのですが、全ての建築物にかかる訳ではありません。

この直通階段の設置は、『避難規定』という条文で、一部の規模、用途しかかかりません。

避難規定がかかる建築物は法第35条に記載があります。

 

建築基準法第35条 特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準
別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物階数が3以上である建築物政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計が1,000m2をこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。

 

以上より、

避難規定(直通階段の設置)の適合が必要な建築物は以下になります。

直通階段の設置が必要な建築物
  • 別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物
  • 階数が3以上である建築物
  • 政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物(無窓居室)
  • 延べ面積が1,000m2をこえる建築物

この中で、赤マーカーを引いた箇所、『階数が3以上である建築物』とあると思います。

だから、3階建の住宅は直通階段の設置が必要なので、固定階段が必要なのです。

 

逆に、2階建ての住宅だった場合どうでしょうか?

唯一、該当しそうなのが無窓居室くらいなので、無窓居室になっていない限りが当てはならなそうですよね。

だから、

2階建て住宅の場合、無窓居室(採光、排煙)が無ければ階段は不要

 

ただし、2階建て住宅も固定階段にするなら、令第23条の適合は必要

さて、2階建ての住宅は固定階段を設置は必要では無いという事はわかったところで、

任意だったら、階段の蹴上、踏面、幅の規定はかからないのでは?と思う方もいるはずです。

 

しかし、これは間違いで、

固定階段にするのであれば、階段の規定は全て適合させなくてはなりません。

いいトコロ取りは出来ないという事を覚えておきましょう!

 

まとめ:2階建て住宅は固定階段にしなくても建築基準法としては支障無し

建築基準法上、直通階段の設置が必要無い建築物は固定階段が必要無し

よって、3階建ての住宅は直通階段の設置が必要なので固定階段が必要だが、

2階建ての住宅は直通階段の設置が不要なので固定階段も不要

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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