単体規定

竪穴区画を内装制限で緩和する為の2つの条件について

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竪穴区画は内装制限で緩和することが可能です。

しかし、その他も条件が有り厳しめで、内容もわかりにくいです。

そこで、今回は緩和の条件、参考になる図書などをご紹介します。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

竪穴区画を内装制限で緩和する2つの条件

竪穴区画を内装制限で緩和する為には、2つの条件に合致させる必要があります。

竪穴区画を緩和する2つの条件

以下2つどちらも適合させる事

①避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる竪穴部分※である事

②壁及び天井の室内に面する部分の仕上下地を不燃材料にする事(内装制限)

※竪穴部分とは、階段や吹抜の事です

念のために法文でも確認ください。


(防火区画)
第112条(1〜10省略)
11 主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第 136 条の 2 第一号ロ若しくは第二号ロに 掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は 3 階以上の階に居室を有するものの竪穴 部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が 2 以上であるもの、吹抜きとなつている部分、 階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これ らに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに 類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪穴部分以外の部分(直 接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第 12 項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第 2 条第九号の二ロに規定する 防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪穴部分に ついては、この限りでない。
一 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分 その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料で し、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの

 

では、2つの条件の内容を深掘りをしてみましょう。

 

条件①避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる竪穴部分である事

この条件を簡潔に説明すると、『避難階に通じる2層竪穴部分』という事です。

少しわかりにくいので、以下の2つのパターンを図で見てみましょう。

上記のようなものなら、条件に合致しているので竪穴区画を緩和できる可能性があります。

それは、『避難階に通じる2層竪穴部分』になっているからです。

質問なんだけど、そもそも2層吹抜とか、2層階段って、竪穴区画必要なの?

だって、竪穴区画って3階建の建築物にかかってくる法文だから、別に2層部分はやらなくて良いんじゃない?

いい質問です!結論は、竪穴区画必要です!それは法文を読めばわかる!

法文を確認してみましょう。法文の主語が『建築物』になっています。

令第112条第11項より

主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第 136 条の 2 第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であって地階又は 3 階以上の階に居室を有するものの竪穴部分

(以下略)

もしこれが、『建築物の部分』などとなっていたら、3層部分だけでよかったかもしれません。

しかし、この法文の書き方だと、竪穴区画が必要になった建築物(つまり主要構造部が準耐火構造で、3階や地階に居室がある)の階段部分は2層だろうが、3層だろうが、竪穴区画しなければならないのです。

詳しくは以下の記事で解説しています。

ただし、『避難階に通じる2層竪穴部分』だけは緩和が可能。それが今回の記事の話です。

 

条文②壁及び天井の室内に面する部分の仕上下地を不燃材料

読んでそのままなのですが、仕上材を不燃材料にし、下地材を不燃材料にします。

この時点で、木造建築物で緩和をする事が難しい事がわかります。下地材が木造だと、不燃材料になりませんからね。

さて、問題は『どこまでの範囲が内装制限の対象になるのか』です。

その答えは、建築物の防火避難規定の解説2016に書いてあります。

内容を要約すると、

内装制限の範囲は、竪穴部分では不十分なので、竪穴部分と一体になっている空間すべてを対象とする。

一体にしたくない部分については、準耐火構造と防火設備で区画をしなければはらない

わかりにくいので、図で書くとこんな感じです。

ちなみに、区画が無ければ区画されるところまで全部が内装制限対象です。

よって、計画によってはかなりの範囲を内装制限しなければいけないかも。

結局、内装制限する範囲を狭くする為に防火設備で区画するの?なら、素直に竪穴区画するわよ!
大きな違いは、今説明している区画は常時閉鎖とか、遮煙性能を有するものじゃなくて、ただの防火設備でok!

だから、竪穴区画と同じではないかな

竪穴区画の場合、防火設備の他に、遮煙性能や、常時閉鎖随時閉鎖の性能を求められます。

しかし、一体の空間としない為の区画はただの防火設備でokので、区画が簡単です。そこが竪穴区画との違いになっています。

竪穴区画の区画方法については以下の記事から。

又、防火避難規定の解説に詳細が書いてあるので、ぜひ確認してみてください。

 

まとめ:竪穴区画を内装制限で緩和するのは条文が厳しめ

竪穴区画を内装制限で緩和するのはわりと厳しめです。

なにが厳しめなのかおさらいすると、

◆木造だと緩和が使いにくい事(下地を不燃材料にしなければならない)

◆2層の竪穴部分しか使えない事(3層以上は素直に竪穴区画するしかない)

◆内装制限すべき範囲が竪穴部分だけではない事(したくないところは区画が必要)

意外と落とし穴が多いので、注意して使いたい緩和ですね。

最後までありがとうございました!

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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