建築基準法

四号建築物でも構造計算添付が確認申請に必要?【法第6条の4】

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結論から言うと、『四号建築物は確認申請に構造計算不要』というのは、です!

どうして?確認申請の特例を使えるから良いんじゃないの?

じゃあ、確認申請の特例が使えないって事?

確認申請の特例は間違いなく使えます!四号建築物なので!

理由は違う所にある!

まず、四号建築物である限り、確認申請の特例は使えます。しかし、その特例の範囲により、以下の建築物は構造計算が必要になります。

構造計算が必要な四号建築物(例)

◆アルミニウム合金造(カーポートなど)

◆木造丸太組構造

◆木造枠組壁工法(ただし仕様規定外れのみ)

今回はどうして四号建築物なのに構造計算が添付必要なのか?その理由を建築基準法で説明していきます!

四号特例については、以下の記事で詳しく解説しています。

※今回は『あくまで特例によって確認申請に添付が必要かどうか』の話です。四号建築物が構造計算不要という訳ではないのでご注意ください。(四号建築物でも仕様規定の法適合は必要なので。詳しくは以下の記事から)

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

確認申請の特例の条文で、構造計算について確認する

確認申請の特例の内容は、『令第10条』に記載があります。


第10条 法第6条の4第1項の規定により読み替えて適用される法第6条第1項(法第87条第1項及び法第87条の4において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次の各号(法第87条第1項において準用する場合にあつては第一号及び第二号、法第87条の4において準用する場合にあつては同号。以下この条において同じ。)に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める規定とする。

一 法第6条の4第1項第二号に掲げる建築物のうち、その認定型式に適合する建築物の部分が第136条の2の11第一号に掲げるものであるもの その認定型式が、同号イに掲げる全ての規定に適合するものであることの認定を受けたものである場合にあつては同号イに掲げる全ての規定、同号ロに掲げる全ての規定に適合するものであることの認定を受けたものである場合にあつては同号ロに掲げる全ての規定

二 法第6条の4第1項第二号に掲げる建築物のうち、その認定型式に適合する建築物の部分が第136条の2の11第二号の表の建築物の部分の欄の各項に掲げるものであるもの 同表の一連の規定の欄の当該各項に掲げる規定(これらの規定中建築物の部分の構造に係る部分が、当該認定型式に適合する建築物の部分に適用される場合に限る。)

三 法第6条の4第1項第三号に掲げる建築物のうち防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建ての住宅(住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が、延べ面積の2分の1以上であるもの又は50平方メートルを超えるものを除く。) 次に定める規定
イ 法第20条(第1項第四号イに係る部分に限る。)、法第21条から法第25条まで、法第27条、法第28条、法第29条、法第31条第1項、法第32条、法第33条、法第35条から法第35条の3まで及び法第37条の規定
ロ 次章(第一節の三、第32条及び第35条を除く。)、第三章(第八節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第四章から第五章の二まで、第五章の四(第二節を除く。)及び第144条の3の規定
ハ 法第39条から法第41条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第6条の4第2項の規定の趣旨により規則で定める規定

四 法第6条の4第1項第三号に掲げる建築物のうち前号の一戸建ての住宅以外の建築物 次に定める規定
イ 法第20条(第1項第四号イに係る部分に限る。)、法第21条、法第28条第1項及び第2項、法第29条、法第30条、法第31条第1項、法第32条、法第33条並びに法第37条の規定
ロ 次章(第20条の3、第一節の三、第32条及び第35条を除く。)、第三章(第八節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第119条、第五章の四(第129条の2の4第1項第六号及び第七号並びに第二節を除く。)及び第144条の3の規定
ハ 法第39条から法第41条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第6条の4第2項の規定の趣旨により規則で定める規定

このあたりの条文、難しいので今回問題になっている『構造計算』の部分だけに注目しましょう。

建築基準法施行令第10条より

◆第三章(第八節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。

第三章とは、タイトル『構造強度』となっており、まさに構造計算などの決まり事が書かれている章になっています。

第三章は基本的には特例の範囲内ですが、『第80条の2にあっては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。』となっています。

ちなみに、第80条の2というのは、特殊な構造方法の事です。

つまり、特殊な構造方法は告示(告示第1119号)で定めているものしか特例を受ける事ができません

では、早速その告示第1119号を確認してみましょう。


建築基準法施行令第10条第三号ロ及び第四号ロの国土交通大臣の指定する基準を定める件 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第10条第三号ロ及び第四号ロの国土交通大臣の指定する基準は、次に掲げるものとする。
一 昭和58年建設省告示第1320号第1から第12まで
二 平成13年国土交通省告示第1026号第1から第8まで
三 平成13年国土交通省告示第1540号第1から第8まで

つまり、特殊な構造の中で特例を受けられるのは以下のもののみです。

特例を受けられる構造

①特殊でない構造すべて(法第20条第1項四号のイに限る)

◆木造の在来工法

◆組積造

◆補強コンクリートブロック造

◆鉄骨造

◆鉄筋コンクリート造

◆鉄骨鉄筋コンクリート造

◆無筋コンクリート造

②特殊な構造の一部

◆プレストレスコンクリート造(告示第1320号第1から第12に限る)

◆壁式鉄筋コンクリート造(告示第1026号第1から第8に限る)

◆木造の枠組壁工法(告示第1540号第1から第8に限る)

上記以外の構造は『四号建築物でも構造の特例を受ける事ができない』という事です。だから、構造計算が必要です。

 

また、特殊な構造の場合は()書きで〜に限ると書いてありますが、これはわかりやすく言うと『仕様規定が外れたら構造計算が必要』って事です。

一般構造でも、仕様規定外れたら、許容応力度で検討したりしますよね?それと同じような感じで、仕様規定が外れてしまった場合は特例も外れてしまうのです。

 

アルミニウム合金造(カーポート)も構造検討必要なのか?

上記の中に『アルミニウム合金造』って上記の中に含まれていないですよね?だから、たとえ四号建築物であっても、確認申請に構造検討が必要です。

え?ほんとに?そんな大変な事しなきゃいけないの?
ほんとです。法文通りなので。

でも最近のカーポートのメーカーさんはちゃんとしてるから、既製品に合わせて構造検討を用意してるところが多いのでメーカーさんに聞いてみてください

まず、構造検討は絶対必要です!でも、最近の既製品のアルミニウム合金造は、メーカーが構造検討(告示の適合書)を用意している事が多いので、そちらを入手すれば、問題は解決すると思います。

 

まとめ:四号物件はすべて構造計算不要な訳ではない

いかがでしたか?

ゴリゴリの法文の記事になってしまいましたが、『四号特例=構造計算不要』というのはなんです。

特殊な構造を使うときは注意しなければなりません。

また、よくあるのが枠組壁工法も基本的には構造の特例は使えますが、仕様規定のみになるので、平成13年国土交通省告示第1540号第1から第8までをよく確認してみてください。

同じ木造でも、丸太組工法になると完全に特殊な工法で特例から外れてしまうので注意が必要です。

構造計算が必要な四号建築物(例)

◆アルミニウム合金造(カーポートなど)

◆木造の丸太組構造

◆木造の枠組壁工法(ただし仕様規定外れのみ)

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そぞろ。
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